J1川崎Fの高卒ルーキーFW三好康児(18)が、ナビスコ杯・横浜戦(5月27日)で躍動した。持ち味のスピードとドリブルで積極的にエリア内に切れ込む。ハーフウエー付近でボールを奪うと、相手GKが前に出た隙を逃さず迷わずロングシュート。GKがかろうじてはじき出したが、しっかり枠をとらえ、サポーターをわかせた。
プロ初先発となったナビスコ杯・神戸戦(4月22日)は持ち味が発揮できず、前半で無念の交代。しかし、横浜戦では別人だった。三好に本領を発揮させた陰の立役者は、主将のMF中村憲剛(34)だ。「縮こまってミスを怖がる三好は見たくない。18才だからできません、じゃないから。おどおどしたプレーはするな。やりたいことをやればいい」。若手を気持ちよくプレーさせるのがベテランの役目-。東京五輪の主役になれる逸材だからこそ、はっぱをかけた。
中村もルーキー時代、最終ラインの先輩たちに同様の声をかけてもらっていた。先輩の支えを得てのびのびプレーしたからこそ「やっていくうちに、自覚も出てきて、いろいろ見えるようになった」と振り返る。「若手の役割とおれらみたいな年よりの役割が必然的に出てくる。(若手は)みんな努力してる。それを試合で出させてあげるのが、おれらの役割。三好が将来、若い選手が出てきたときに、(自由に)やらせてあげればいい。自分もそうだったから」。先輩の心遣いを受け止め、しっかりとプレーした三好に、中村は「本当にやりたいようにやってましたね。三好に関しては父親のような感覚かな」と目を細めた。若手の活躍で勝利を収めたことが、大きなチームの活力になっている。
川崎Fでプレーし13年目。チームのDNAをしっかり下に伝えている。勝利のために、ピッチでは時には厳しい言葉も投げかける。試合では、勝敗に関係なく(報道陣が集う)ミックスゾーンで声をかけられれば必ず立ち止まって対応する。敗れた後は話したくないときもあるだろう。他チームで、声をかけられても無言を貫く選手を見かけるが、川崎Fではそれがない。若手が、中村の背中を見ているからこそだ。
三好は直近のリーグ戦でも持ち味を存分に出している。7日の湘南戦でも終盤に登場し、スピードを生かしシュートも放った。三好は「今は一番下でのびのびやらせてもらっている。年を重ねて下が入ってきたら憲剛さんのような立場にならなくては。そのためには、今は結果を残すために、日々の練習から意識したい」。中村の精神は、しっかりと下に受け継がれている。
◆岩田千代巳(いわた・ちよみ) 1972年(昭47)、名古屋市生まれ。菊里高、お茶の水女子大を経て95年、入社。主に文化社会部で芸能、音楽を担当。11年11月、静岡支局に異動し初のスポーツの現場に。13年1月から(当時)J1磐田を担当。15年5月、スポーツ部に異動し主に川崎F担当。



