日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(62)が14日、東京・文京区のJFAハウスで行われたJ1、J2合同実行委員会に出席し「5カ条の要求」を申し入れた。G大阪FW宇佐美貴史(22)を例に挙げて体脂肪率の適正化を求め、6秒で相手ゴールに迫るカウンター攻撃重視の戦術など“ハリル流”への理解と協力を求めた。

 スイッチが入った。Jリーグの村井チェアマンから「我々には耳障りの悪い話が出ると思います」と紹介されると、ハリルホジッチ監督の放談が幕を開けた。マイクを握って立ち上がると、口を動かし続けた。報道陣には冒頭5分だけの公開予定だったが、軽々オーバー。33分間ノンストップの講話を「今日はここまで」と締めくくると、笑いが起き、拍手が続いた。

 実行委員会に日本代表監督が出席するのは初めて。非公開で行われた質疑応答の部分なども総合すると、各クラブのトップに「5つの要求」を突きつけた。

 (1)体脂肪率の適正化 日本代表選手の体脂肪値が集計されたA4サイズの紙を示しながら「フィジカルの準備ができていない。赤(不合格)が多い。ほぼ国内組です」と指摘。出席者によると「体脂肪率は8~9%、高くても11%までが望ましい」と話し、宇佐美の名前を挙げた。3月下旬の計測時で宇佐美は14・1%。本田の6・6%や武藤の8・3%と比べ、「努力が必要だが、ものすごく能力が高い選手。私の要求に応えられるなら欧州のどの国でもやれる。かなり期待している」。改善次第で可能性が広がると力説した。

 (2)速攻 縦に速いサッカーへの転換を求めた。Jクラブは近年、パスをつなぐポゼッション(ボール保持)が下部組織からの主流だが「カウンターは遅攻の3倍効果的。使わない手はない」。ボールを奪ってから6秒で敵ゴールを陥れる戦術を理想とし「縦への速さをアカデミーから意識的に教えてほしい」と訴えた。

 (3)審判レベル向上 Jリーグは「審判に疑問がある」と遠慮なし。「軽く触れただけで笛を吹く。欧州の基準ではあり得ない。球際に強くならないので審判も変化が必要」と断言した。

 さらに「日本協会やJリーグが発表する前にリークされる話が多い」と(4)情報管理の徹底を要望し、ドイツ代表GKノイアーらと比べて「レベルが低い」と(5)GKの底上げも求めた。就任1カ月、あふれる思いは止まらない。トップに直談判することでJをハリル色に染めていく。【木下淳】