【プノンペン14日】日本代表FW本田圭佑(29=ACミラン)が、敵地の環境に適応する。17日のW杯アジア2次予選カンボジア戦に向け、試合会場で初練習を行った。不慣れな人工芝で、開催国側が用意するボールも日本にはなじみのない現地社製「DONG LUC」。本田はCSKAモスクワ時代に経験のある人工芝には余裕を見せながらも、ボールについては「時間がかかる」と不安視した。

 夕暮れの五輪スタジアムには、たくさんの人が集まった。気温34度、湿度70%。現地在住日本人の他に、バックスタンドで寝転がって練習を見る人。スタンド最上段でランニングする人。さまざまな人が集う中、本田は人工芝のピッチに足を踏み入れた。13年末まで在籍したCSKAモスクワでは、人工芝で欧州チャンピオンズリーグを戦うなど経験済み。その点は問題ない。

 「僕はプロになるまで(中学、高校と)6年間、人工芝だった。いい方の人工芝だと思いますよ。ただボールの方が気になりましたね。タッチの感じが明らかに違う。そこの方が、慣れるのに時間がかかる」

 今回の2次予選は、開催国側がボールを選択する。カンボジアが用意したのは日本や欧州で使われる主要メーカーではなく、現地社製の「DONG LUC」。見た目は手縫いに似た旧式のものだ。W杯でも採用されるような空気抵抗を最小限に抑えたものとは違うため、FKやCK時には細心の注意が必要。FKを得意とする本田にとっては、人工芝よりも気になる要素になるのは確かだ。

 12日シンガポール戦では、85年木村和司以来、30年ぶり史上2人目となるW杯予選4戦連発を達成した。人工芝と最大の難敵となりそうなボールさえ攻略すれば、相手はFIFAランク183位の格下。5戦連発も現実味を帯びてくる。

 「5戦連発? 考えたこともなかった。ミランで(連発を)やりたいですね」

 代表で勢いを取り戻す。そうすれば、不遇のACミランでも先発奪回のチャンスは訪れる。【益子浩一】

 ◆ボールの品質と規格 サッカー競技規則の第2条には「ボールは、次のものとする」と記されている。(1)球形(2)皮革または他の適切な材質(3)外周は70センチ以下、68センチ以上(4)重さは試合開始時に450グラム以下、410グラム以上(5)空気圧は海面の高さの気圧で、0・6~1・1気圧。また、国際サッカー評議会の決定として、ボールは第2条の要件に加え、FIFAや各大陸連盟の主催下で行われる公式試合においては「FIFAクオリティープロ」「FIFAクオリティー」「国際試合ボール基準」のいずれかのロゴが付けられていることが条件。