サッカー日本代表のW杯北中米大会「優勝」に暗雲が垂れこめた。森保ジャパン主軸中の主軸、MF三笘薫(28=ブライトン)が9日のウルバーハンプトン戦で負傷退場。4年に1度の開幕が1カ月後の6月11日に迫る大舞台へ、万全の状態で臨めない可能性が高まった。公式発表はないが、完治に時間がかかる左もも裏の肉離れが濃厚。負傷者続出の代表が、さらなるアクシデントに見舞われた。

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悲劇的な光景が、目に飛び込んできた。後半10分、左サイド深くで三笘が浮き球を肩でトラップ。前進するや、左もも裏を気にし、右手を挙げてプレーを中断した。その場に倒れ込んで交代を余儀なくされる。両手で顔を覆う様子が状態の悪さを物語った。歩いてピッチを去ったものの、痛々しさが芝生の上に残った。

英スカイ・スポーツなどによると「ハムストリング(太もも裏)の負傷」。ヒュルツェラー監督も「検査の結果を待たなければならない」としつつ「あまり良い状態ではないようだ」と現地で説明した。地元メディアによると、松葉づえを突いて会場を出たという。

W杯まで残された日数は多くない。日本代表メンバー発表が5日後(15日)に迫っていた段階で、大会の開幕まで31日、日本の初戦オランダ戦まで34日。一夜明け、国内で東京-東京V戦を視察した代表の森保一監督は、正式な報告は受けていないとしながら「軽傷であることを願っていますけど、軽傷ではないかな、という印象は聞いている」と厳しい見解であることを明かした。全治も不明だ。

三笘離脱のダメージは、世界一を目指すチームにとって計り知れない。独力突破できる唯一無二のドリブルは日本の強み。前回の22年W杯カタール大会は後半途中から投入される切り札的な起用だったが「三笘の1ミリ」でスペインを破った象徴になった。森保監督の第2期は主軸に定着。左サイド不動の1番手として攻撃をつかさどってきた。

3月は南野や久保ら負傷者が続出したトップ下(シャドー)を任され、イングランド相手に決勝点をマーク。中央でも外(ウイング)でも軸としてチームの命運を握る、まさに替えの利かない存在となっていた。

昨年12月に同じ箇所を肉離れしたMF鎌田は今年2月、同1月に痛めたMF久保は4月に復帰と、長いリハビリ期間を強いられたケースもある。三笘も完治が開幕後になる可能性はあるが、かけがえのない戦力。森保監督は、問題なくプレーしている選手から選ぶ前提を示しながら「W杯期間中にプレー可能でハイ・インテンシティー(高強度)の中でも戦えると判断できれば、選考の対象としては考えていきたい」。絶望ではなさそうな状況は救いだが、目指す「最高の景色」へ試練が続く。【佐藤成】

◆ハムストリングス肉離れ 太もも裏の筋肉から筋膜がはがれる負傷。微小な損傷から完全断裂まで、程度により軽症(1度)中等症(2度)重症(3度)の3段階グレードに分類される。MRIで検査し、血腫や出血があれば肉離れ。軽症の場合は1~2週間で血が吸収されて治るが、筋膜が切れるなどの中等症は修復に4週間程度。重症は筋肉や腱が完全に断裂した深刻な状態で、全治まで2~3カ月以上かかる。状態によっては手術も必要で自力歩行も困難だが、三笘は自力で歩いて退場していた。