【トゥーロン(フランス)22日=木下淳】けが人が相次ぐU-23(23歳以下)日本代表が、新たな負傷禍に見舞われた。前日21日のトゥーロン国際初戦U-21パラグアイ戦で、センターバック(CB)岩波拓也(21=神戸)とサイドバック(SB)亀川諒史(22=福岡)が負傷。正式診断はまだだが、今大会絶望となった。故障者が守備ラインに集中しており、最終予選メンバー7人中6人が負傷中という異常事態に陥った。

 1-2で敗れたパラグアイ戦から一夜明け、チームは18人で再始動した。負傷した岩波と亀川はホテルで静養。朝食会場には松葉づえをついて現れた。週末のためトゥーロン市内の病院で精密検査を受けられず、チーム医師も診断を下せない。現在は車で1時間ほど離れた、フランス第3の都市マルセイユまで範囲を広げて医療機関を探している。

 悲劇は前日の試合中に起きた。前半31分、空中戦で競った岩波が着地した際に左膝を痛めた。立ち上がれず担架で運び出され、三浦と交代。ハーフタイムに、けたたましいサイレンとともに救急搬送された。SB亀川は前半は左、後半は右でフル出場したが、終了の笛と同時に倒れ込む。駆けつけたスタッフがスパイクを脱がせると、右足甲が極端に腫れ上がっていた。こちらも救急搬送。守備の要2人を同時に失った上、リオ五輪まで影響が及ぶ可能性も否定できなくなった。

 異常事態だ。1月の最終予選後、負傷者が続出。SBは2月の室屋を皮切りに松原、山中、そして亀川と4枚が“全滅”。CBも、左脛骨(けいこつ)骨折でリオ五輪絶望となった奈良に、岩波が続いた。正式な診断は今日23日以降になるが、長期離脱の見通し。最終予選の4バック7人のうち、生き残っているのは植田だけになってしまった。

 既に復帰した選手も合わせれば、23人中14人が1度は最終予選後に負傷している。手倉森監督は試合後の会見で「チーム医師の所見では、今大会は難しいでしょう」と岩波と亀川の大会絶望を示唆していたが、一夜明けた練習では「CBは2枚でフル回転」。岩波の離脱と植田、三浦の連戦起用を明言した。亀川不在のSBも「ボランチを下げる可能性も、なきにしもあらず」と総力戦を覚悟した。

 大会規定で選手変更はできず、中1日の残り最大4試合を18人で回さなければならない。OA枠の再考も余儀なくされる上、さらなる負傷禍とも背中合わせの、試練の大会となった。