バーゼルDF中田浩二(28)が、6月のW杯アジア3次予選のキーマンになる。日本代表の岡田武史監督(51)は8日、キリン杯(24日~)から、中田を招集する見通しを明かし、ボランチ起用を示唆した。手術した右ひざの回復具合にもよるが、コートジボワール戦(24日=豊田ス)、パラグアイ戦(27日=埼玉)で試す。フィットすれば正念場となる6月2日のW杯予選オマーン戦(日産ス)での心強いオプションになる。

 普段は慎重な岡田監督の口調が、珍しく滑らかになった。中田に関する話題に触れたときだ。「13日に帰国して鹿島で(右ひざを)チェックするが、チームは21日から休み。代表に帯同する可能性がある」。中田の具体的な予定を明かした上で、キリン杯前の合宿からの招集も示唆した。

 ずっと中田を気にかけていた。スイス杯で2連覇を達成するなどDFのレギュラーとして欧州で結果を残してきた。W杯2大会連続出場という経験もある。4月に右ひざを手術した後も、代表スタッフに命じて復帰予定を探っていた。この日は「(スイスリーグの)10日の試合は出るかもしれない」と明かした。順調な回復ぶりにキリン杯からの招集が見えてきた。

 起用法にまで言及した。「ディフェンス、ボランチどこでもできる。経験もある。今のチームではサイドバックもやっている」と一気にまくしたてた。バーゼルではDFで起用されているが、岡田ジャパンではボランチでも起用する可能性を示唆した。敗戦が許されない6月のW杯アジア3次予選での布陣の一端が見えてきた。

 ホームアンドアウェーで対戦するオマーンとの2連戦が、3次予選突破の正念場になる。攻撃的な布陣でゴールを奪いに行く一方で、安定した守備で失点を防がなければならない。中田はゾーンディフェンスを確実にこなす高いDF能力に加え、正確なフィードで局面を打開する力もある。招集が確実視される中盤の中村俊、松井、長谷部ら欧州組の攻撃力を生かすためにも、中田の存在は大きい。

 その試金石がキリン杯になる。24日のコートジボワール戦は中村俊の合流が厳しいため、W杯予選を見据えた最強布陣は27日のパラグアイ戦で試すことになる。中田のボランチが攻撃陣とフィットすれば、岡田ジャパンにとってここ一番を前にした切り札になる。【井上真】