大先輩の説得に、横浜MF中村俊輔(32)の日本代表引退の決意が揺れた。中村は6日の練習前、元日本代表のラモス瑠偉氏(53)の電撃訪問を受け、代表引退撤回を求められた。1年前から考えた末の決意と明かした。「自分のことだけでなくサッカー界全体を考えてのこと。コロッと変わることはない」。

 ただ熱い説得に「いろいろ考えさせられる」とポロリ。「オレのために来てくれてありがたい。19歳の時に引退試合に呼ばれて、『後はお前に任せた』と言われた。『何言ってんだ、この人』と思ったけど、だんだん言葉の意味がわかってきた」。

 ラモス氏からは木村和司監督(52)の前で「カズシが付け、オレが付けて、お前が付けた(代表の)背番号10。お前はまだ付けられるよ」と熱烈に直訴された。93年のドーハの悲劇後に代表引退を表明し、95年に加茂監督により翻意させられたことも聞かされた。「原さん(日本協会技術委員長)にも言っているし、あやふやに決めたものじゃないから」と言いつつ、先輩の話は刺激になった。

 ラモス氏は「代表の背番号10は俊輔しかいない」と力説し「(招集されたら)次は断らないよ」と、手ごたえを口にした。木村監督も「人の気持ちは変わる。今の状態がさらに良くなってチームで結果を残せば、考えが変わるかもしれない」と含みを持たせた。

 ザッケローニ監督の日本代表は、背番号10が空いている。中村は「オレとは関係ないよ」とかわすが「代表の10番」に特別な思いがあるのは確かだ。