ザックジャパンの「隠し玉」が米国にいた。日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督(58)が、米MLSのコロラド・ラピッズに所属するDF木村光佑(こうすけ=27)をリストアップしたことが、分かった。日本協会関係者が10日、明かした。既に木村のプレー映像は入手しており、6~7月にかけて視察要員を派遣する予定。9月2日から始まるW杯アジア3次予選に備え、昨季は日本人初のMLS制覇を果たしたサイドバック(SB)が、内田篤人(23)長友佑都(24)という不動のSBを擁する日本代表の選手層をさらに厚くする。

 米国の地で存在感を放つ右SBに、ザッケローニ監督が注目した。異国でプロデビューして結果を残した木村に対し、日本協会関係者は「既に木村選手のビデオは入手している。今月から来月にかけて視察要員を派遣する計画がある」と明らかにした。

 指揮官は普段から「代表監督として、すべての選手を把握しておきたい。スタッフと協力して、Jリーグも多くの試合をカバーしている。日本代表はすべての選手に開かれている」と話している。その言葉を裏付けするかのように、木村をリストアップした。

 14年ブラジルW杯に向けた過酷な予選が9月2日から始まる。現在の日本代表SBは右の内田、左の長友がおり、先の親善試合2戦には西、安田も招集。本職がセンターバックの槙野、伊野波もSBをこなせる。だが、予選では故障や出場停止など予想外のトラブルがつきもの。だからこそ、少しでも選手層に厚みを持たせることに意味がある。

 運動量と速さが持ち味の木村は本来、右SBが本職だが、今季は故障者続出のチーム事情もあり、4-4-2の布陣の左SBに加え、右MFも務める。「日本人の持ち味の1つはユーティリティー(多様性)」と話すザッケローニ監督の考えにも合致する人材だ。

 ザッケローニ監督は通常のスタッフ会議でも、Jリーグや海外組を視察したスタッフの報告を入念に聞き、意見も柔軟に取り入れるスタイルを貫いている。代表のチーム状態や欧州でプレーする主軸の海外組の招集事情も影響するが、木村のプレーが評価されれば、W杯3次予選前の最後のテストの場となる8月10日の親善試合・韓国戦(札幌ド)への招集の可能性も出てくる。異色のSBが「逆輸入」の形で日本代表入りすれば、ザックジャパンの選手層の厚みがさらに増すことになる。

 ◆木村光佑(きむら・こうすけ)1984年(昭59)5月14日、神戸市生まれ。ウエスタン・イリノイ大に入学後、07年MLSドラフトで日本人初の指名を受け、コロラド・ラピッズ入団。1年目からトップチームでの出場を果たした。昨年は右サイドバックのレギュラーとしてMLSカップでFCダラスを破り全米制覇。東地区チャンピオンシップ決定戦サンノゼ戦では決勝ゴールを決めMVPを獲得。リーグ戦通算85試合2得点。プレーオフ4試合1得点。175センチ、70キロ。血液型O。