<W杯アジア3次予選:ウズベキスタン1-1日本>◇C組◇6日◇タシケント・パフタコル・スタジアム

 MF遠藤保仁(31=G大阪)がいぶし銀の活躍を見せた。FIFA(国際サッカー連盟)15位の日本が、同82位の格下ウズベキスタンに大苦戦。1点を追う後半に遠藤がFW岡崎の同点弾の起点となり、日本の心臓として実力を発揮した。この試合で日本歴代3位となる国際Aマッチ111試合出場を果たした遠藤は、W杯アジア3次予選3戦目以降もフル稼働する。

 MF遠藤の見せ場は後半20分に訪れた。相手攻撃をしのいだ日本のカウンターで、遠藤が左サイドに走っていた。慌てて戻る相手守備を横目に、今度は中央へバックパスし、攻撃を組み立てる。右へ展開し、DF内田のクロスにFW岡崎が飛び込んで同点弾。満足そうに背番号9へ駆け寄って、喜びを分かち合った。真骨頂の瞬間だった。

 遠藤が阿部を加えた新たな中盤を支えた。トップ下は北朝鮮戦の柏木ではなく、ボランチの長谷部が入った。そして唯一先発を入れ替わった阿部と中盤の底で組んだのが遠藤だった。

 日本の生命線「遠藤-長谷部」のコンビを崩してまで臨んだ一戦。守備を優先しつつ前半20分、右サイドでフリーになった岡崎に約40メートルのパスを通した。

 荒れたピッチにグラウンダーのパスが通りにくいと判断すると、早めのクロスで空中戦を仕掛けた。日本の攻撃に緩急をつけて相手を惑わせた。

 以前から右内転筋を痛めており、状態は決して万全ではなかった。「大丈夫ですよ。張りはあるけど、普通にやっていればプレーできますし。右足でも普通に蹴れてますから。ウズベクに来る前からの痛みだったんで」。思い通りのパスが通せなくても「前(09年の対戦で)もそうでしたし、公式練習で確認できるから問題ないです」と話していたように、経験で中盤を落ち着かせた。

 「若いチームですし、1戦1戦勝つことで自信をつけていけると思う。これから我慢しなければいけない局面もあるし、そこを乗り越えることが必要。アウェーはホームとは違う戦いになると思うので」。試合前はそう語っていた遠藤は、この試合で並んでいたDF中沢佑二(横浜)を抜き、日本歴代3位の国際Aマッチ111試合出場を果たした。02年11月20日アルゼンチン戦での代表デビューから9年を経過。歴代1位の井原正巳の122試合の記録更新さえ視野に入っている。

 この日はゴール前のピンチに駆けつけると、相手のパスをスライディングしながらクリアするなど、まさに攻守に活躍。後半からは長谷部と本来のダブルボランチを組んだ。そしてリズムを取り戻した。節目の試合を白星でこそ祝えなかったが、やはり「日本の心臓」は存在感抜群だった。