ロンドン五輪に出場する関塚ジャパンが、24歳以上の選手もオーバーエージ(OA)枠としてメンバー入りさせる方針を固めたことが9日、分かった。関塚隆監督(51)が代表スタッフらと協議し、このほど決定した。12日に東京・文京区のJFAハウスで行われるJリーグ強化担当者会議で各クラブに伝え、協力を要請する。今後のJリーグなどで人選を進める予定で、7月初めに五輪メンバー18人を発表する。代表候補はこの日、宮城県内で強化合宿をスタートした。

 関塚監督が、腹を決めた。OA枠を放棄しない方針を固めた。代表スタッフは「監督とも協議して決めた。プレー面でも精神面でも、助けになるような選手と判断したら、24歳以上でも五輪メンバーに入ることになる」と話した。OA枠は最大3人。7月初旬に予定されている五輪メンバー発表まで、今後の視察では24歳以上の選手も代表候補の対象になる。

 五輪に年齢制限が設けられて以来、日本は4度本大会を戦っており、そのうち00年シドニー五輪でGK楢崎正剛ら3人、04年アテネ五輪ではMF小野伸二ら2人を、OA枠でメンバーに加えた。08年北京五輪ではMF遠藤保仁とFW大久保嘉人をリストアップしたが、遠藤は直前にウイルス感染症を発症し、大久保は所属クラブ(神戸)から断られ、断念した。

 関塚ジャパンで選手層の薄いポジションは、センターバックとFW。タレント豊富な2列目MF以外は、ほとんどのポジションが対象になると思われる。9日から始まった国内合宿で底上げを目指すが、OA枠で補充する可能性は十分ある。代表スタッフは「結果的にOAを1人も選ばないこともあるが、OAも候補に入れるということ。OAは国内組に限定する予定で、原さん(強化担当技術委員長)がJ強化担当者会議で説明して協力要請する」という。

 ロンドン五輪期間中にもJリーグが行われることから、OAが加わっても、各クラブ3人までの選出原則は、崩さない。また、日本協会としてはロンドン五輪本大会よりW杯ブラジル大会出場に比重を置いていることから、疲労などを考慮し、「A代表のレギュラー以外」にOA枠候補を限定する可能性がある。

 この日、OA枠について聞かれた関塚監督は「早くから選んでチームづくりをすることはない。今のチームをベースにどれだけ上積みができるか。限られたところでしっかりベストを尽くしたい。可能性はあります」と前向きではあったが、明言は避けた。

 昨年W杯優勝以来、なでしこ人気が急上昇した。その女子と肩を並べるためにも、招集できる範囲の選手はフルに集め、ロンドンでは最強の布陣で戦う。

 ◆日本過去のOA

 五輪に年齢制限が設けられたのは、92年バルセロナ五輪から。日本は96年アトランタ五輪から5大会連続で出場となるが、アトランタ五輪では当時の西野朗監督の意向でOA枠は使わなかった。しかし00年シドニー五輪からは3大会連続でOA枠も入れたメンバー選考をしてきた。00年シドニー五輪ではGK楢崎正剛、DF森岡隆三、MF三浦淳宏が選ばれた。04年アテネ五輪では、GK曽ケ端準、MF小野伸二が選ばれ、FW高原直泰は持病の肺動脈血栓塞栓症のため、選出を断念。08年北京五輪は遠藤保仁が病気で辞退し、FW大久保嘉人はクラブから招集拒否され、結局OA枠はゼロ。