なでしこジャパン佐々木則夫監督(53)のロンドン五輪秘密兵器は、身長187センチGKだ!

 4月末に予備登録した35人枠に、千葉GK山根恵里奈(21)が選出されていることが14日、分かった。この日、都内で五輪に備えたメディカルチェックを受けた。昨年まで東京電力に所属し、チームの無期限休部や度重なるケガもあって1年以上サッカーから離れていた大型GK。なでしこの欠点でもある高さを補う救世主として、期待がかかる。

 本人もビックリの選出だった。先月に舞い込んだ突然の吉報に「えっウソでしょ、って感じでした」と笑った。1年以上公式戦出場経験なし。それどころかサッカーをやめようとさえ思った時期も続いた。「五輪といっても、私はまだまだ。正直意識もなかった。とにかくやるだけです」。

 真っ先に報告したのは東京電力時代の菅野将晃監督(現ノジマステラ神奈川監督)だった。今季から千葉に移籍。4月29日の日テレ戦で約1年半ぶりにベンチ入り。翌30日、実戦復帰した練習試合の相手が菅野氏だった。「(選出が)うれしそうでした。彼女にとって奮起をかき立てる出来事だったと思う」。

 一昨年からヘルニアによる腰痛と、3度の足の疲労骨折に苦しんだ。東日本大震災で、06年から過ごす福島県に戻れず、チームは無期限活動停止。肉体的、精神的に追い詰められた。「(ケガは)今もだましだましやっている状態ですけど、自分で選んだ新天地で楽しんで頑張っています。本当につらかったですけど、今は気持ちが強くなりました」と、うなずいた。

 日本協会が将来のなでしこジャパンGK発掘を目的に04年から始めた「スーパー少女プロジェクト」の1期生。身体能力を見込まれた原石だった。6月のスウェーデン遠征に招集されれば、10年1月のチリ遠征以来のなでしこジャパンとなる。当時から佐々木監督は「能力は高いし、可能性を感じる」と、高さだけでない素質を評価していた。

 メディカルチェックの会場では「えりな~」と手を振りながら待つ仲間がいた。東京電力時代の先輩FW丸山。その仲間とサッカーが出来ない悔しさから、W杯は決勝のPK戦しか見ていない。今度こそ、仲間と同じピッチに立つ、それが大型GK山根の目標になった。【鎌田直秀】

 ◆山根恵里奈(やまね・えりな)1990年(平2)12月20日、広島市南区生まれ。宇品東小3年からサッカーを始めた。宇品東少年SS-広島大河FCレディース-広島女子ユース蹴命FCを経て、06年JFAアカデミー福島1期生として入校。09年東京電力入団。今季から千葉に移籍。08年U-20女子W杯チリ大会、10年同ドイツ大会出場。国際Aマッチ出場1試合。187センチ、78キロ。足のサイズ28・5センチ。血液型O。

 ◆世界の女子GK事情

 昨夏の女子W杯ドイツ大会出場選手では、英国バーズリーとブラジルのタイスが181センチで最長身。ロンドン五輪で日本が1次リーグで対戦するスウェーデンのリンダールが179センチ。フィールドプレーヤーではフランスDFレナードの187センチが最高。五輪メンバーに選出されれば、大会最長身になる可能性もある。ちなみに、男子日本代表GK川島は185センチ。