中東の気候を「遠藤ボックス」で乗り切る。W杯アジア最終予選オマーン戦(14日、マスカット)を戦う日本代表は8日、直前合宿を行うカタール・ドーハに向けて出発した。航空機にはMF遠藤保仁(32=G大阪)が練習後などに氷風呂につかるためのボックスが積み込まれた。日中の時間帯に行われる暑熱対策は万全。前日7日の柏戦で裂傷し、9針を縫った右下顎は大事に至らず、敵地に乗り込む。また海外組は現地で順次、合流する予定だ。

 大量の荷物にまぎれて、「遠藤ボックス」が積み込まれた。日本代表が前線基地のドーハに向けて出発。搭乗直前、人間1人がすっぽり入るでっかい“バケツ”が、チェックインカウンターに並んだ。代表関係者によると、遠藤ら複数選手が練習後やハーフタイムに、氷風呂として使用する。中東での戦いでネックとなる暑熱対策のためのもの。万全の準備を整えて、敵地に乗り込んだ。

 火照った体を冷やすために、遠藤が代表に定着した数年前から使い始めた。W杯予選を戦う中東や真夏の日本での試合でも使用され、今では定番のアイテムとなった。敵地であるオマーン・マスカットは夏季が過ぎたこの時期でさえも、日中には最高気温で35度に迫る予報。照りつける太陽に、ピッチ上の選手は体力を奪われることが予想される。日々の練習からボディーブローのように効きかねない。試合で万全の状態で臨むため、練習後のロッカー室でスパイクもユニホームも脱ぎ捨て、氷が入ったボックスに体を沈める。

 遠藤を見て使い始めたDF駒野も、効果を実感している。「汗が止まるし、体だけじゃなくて気持ちもリセットできる。僕は汗がすごい出るんで」。前日の柏戦で右下顎に9針を縫う裂傷を負った遠藤は「シャワーはしみるかもしれないけど大丈夫。何もない。問題ありません」と病院に行くこともなく合流。患部にばんそうこうを貼り力強く言い切る。無敗で独走態勢に入ったザックジャパン。中東での戦いにも、勢いを止めるつもりはない。【栗田成芳】