日本サッカー協会の大仁邦弥会長(70)が、日本代表ハビエル・アギーレ監督(56)の去就をアジア杯オーストラリア大会後に判断する意向を示した。同監督の八百長疑惑に関する告発状がバレンシア裁判所に受理されたという報道を受け、15日に東京・JFAハウスで会見。アジア杯期間中は指揮官の八百長疑惑に対する対応の封印を宣言すると同時に、去就は未決定としながら、大会後に考えを示すことを明言した。

 さすがに表情には疲れが浮かんでいた。アジア杯の期間中にもたらされたアギーレ監督の八百長疑惑に関する告発状の受理という情報。大仁会長は「アジア杯期間中は、この件について我々は封印したい。アジア杯が終わったら、告発状受理についての日本協会の考え、対応について説明します」と話した。

 指揮官の去就を判断するタイミングは、あえて大会後に設定した。「いろいろな情報を集めているが、まだ(去就については)決まっていません。アジア杯に今は集中させたいということで、(アジア杯での)日本代表の活動が終わったら説明したい」。同様の説明をこの日行われた日本協会の最高決定機関である理事会で説明し、出席者から異論は出なかったという。

 告発状の受理は想定されていたとはいえ、いよいよ日本代表監督に対しての本格捜査が始まることが決まる異常事態。受理という報道の裏付けを取るためにスペインの現地と連携しながら、この会見までに確定情報は得られなかったが「(報道が)確実だろうと想定した」。その上で、大仁会長は「我々としては受理されないことを願っていたが、受理されたのは残念。重く受け止めないといけない」と、これまで以上に沈痛な面持ちで話した。

 今後、起訴の有無を判断するための本格捜査が始まる。捜査開始は2月とみられ、どこかでアギーレ監督が出頭を要請される。昨年12月下旬に大仁会長は日刊スポーツの取材に対し「起訴されたら解任」と明言しているが、スペインで八百長の事例での捜査は初めてで、過去の判例がなく、起訴の有無が判断される時期も読めない状況だ。

 同会長は「日本代表がアジア杯連覇を目指し集中して戦える。それが最優先」と話した。捜査の進展状況だけではなく、アジア杯での成績や戦いぶりも去就を決める上で当然、重要な要素になる。条件がそろえば、就任後わずか半年弱で解任という可能性も出てくる。「灰色」の指揮官が日本代表の指揮を執り続けることはリスクを伴う。日本協会が決断を下す日は刻一刻と迫っている。【菅家大輔】