鹿島のMF柴崎岳(22)が、日本代表監督を解任されたハビエル・アギーレ氏(56)への感謝を胸に再出発した。4日、宮崎県内で行われたJリーグの「スカパー!

 ニューイヤー杯宮崎ラウンド」の福岡戦にフル出場。クラブでの今季初実戦を2-0で制し、同杯の初代王者に導いた。アギーレジャパン最後の得点者として、代表で得たものを今後も突き詰める。

 柴崎の存在感は際立っていた。アギーレチルドレンの筆頭格が、鹿島での今季初実戦にフル出場。ゲーム主将として主将マークを巻き、中盤の底から正確なパスを配球した。ボールを多く触ってリズムを刻むスタイルは代表でも示した通り。バランス重視で持ち味の攻撃参加を控えたため、シュートは0本だったが「最初の試合にしては良かった」と納得した。

 アジア杯準決勝より先に進んでいれば、出場しなかった大会だった。1月23日の準々決勝UAE戦で敗れて25日に帰国。チームからは31日までオフを与えられたが、自ら2日前倒しで宮崎キャンプに合流した。アジア杯で途中出場2試合に終わった肉体を鍛え上げてきた。

 アジア杯ではUAE戦で同点ミドルを決めた。でも負けた。アギーレジャパン最後の得点者も、悔しい響き。「ゴールの瞬間は『ウオォー』とくるものがあったけど、まだ同点というリアルな現実に引き戻された。残り時間で勝利を目指したんだけど…」。アギーレ監督に勝利を贈れず11日後に解任。心残りがない、とは言えない。

 それでも切り替えるしかない。昨年9月のベネズエラ戦では国際Aマッチ初出場初ゴールを記録し「第1歩を踏み出させてくれた人。解任は残念ですけど、感謝の気持ちを持ってやっていきたい」と師事した半年間をベースにする。「人柄も良かったし、成長できる部分は多かった」。学んだことを今後の定着につなげる。

 アジア杯では「日本と違ったリズムやパワーを感じた。最初は面食らう部分もあったけど、慣れさえすれば対応できる」と感触をつかんだ。再出発の今季。「Jの方式も変わるし、ACLもある。国内でもアジアでも結果を出すために『個』を上げていかないと。僕はまだまだ」。新監督にも認められるため、アギーレ監督の下で分かった課題をつぶしていく。【木下淳】