【ドーハ25日】さあ五輪切符獲得だ。リオデジャネイロ五輪アジア最終予選を兼ねるU-23(23歳以下)アジア選手権の準決勝が今日26日、行われる。勝てば6大会連続の五輪出場が決まる日本は、3連敗中の宿敵イラクとの対戦に向けて当地で最終調整。運命の一戦を前に、現在はアラブ首長国連邦(UAE)のアルワフダを率いる前日本代表監督ハビエル・アギーレ氏(57)から、手倉森誠監督(48)にエールが届いた。敗れた場合は29日の3位決定戦で最後の1枚を争う。

 「友」のために口を開いた。前日本代表監督のアギーレ氏が日刊スポーツの取材に応じ、今日のイラク戦で五輪出場を目指す手倉森監督を激励した。昨年2月に八百長疑惑で解任された後、日本の新聞社に肉声を寄せるのは初めて。かつてコーチだった手倉森監督の成功を願い依頼に応じた。

 アギーレ氏 まずは友人のテグ、手倉森コーチに「久しぶり」と言っておきたい。そして、私が彼にアドバイスする必要は特にないだろう。なぜなら、日本の若い世代のことはテグが誰よりも知っているからだ。

 スペイン・サラゴサ時代の八百長を疑う裁判は継続中だが、昨年6月からアルワフダを指揮している。カタールの隣国UAEの首都アブダビに住み、今大会は初戦の北朝鮮戦からテレビ観戦。「快進撃おめでとう。ベストの結果だ。若いチームは良いチームになった」。在任中、松原や植田をA代表に抜てき。リオ世代のことを今も忘れず「勝つために、どのパスやシュートを選択すべきか分かっている。テグも、このレベルでの戦い方を分かっている」と高く評価した。

 あと1勝で6大会連続の五輪切符が手に入る。相手は3連敗中の天敵イラクだが、勢いは今大会4戦全勝の日本。前掛かりの雰囲気にアギーレ氏は手綱を引いた。昨年1月のアジア杯。手倉森コーチと2連覇を狙ったが、準々決勝でUAEに敗れた。「私から言えるのは、たった1つ。『最後の最後まで戦い抜け』ということだ。最後の60秒、そしてホイッスルが鳴り終わるまで。何が起こるか分からないことを、我々はよく知っているだろう」。シュート35本(相手は3本)を浴びせながらPK戦で敗退した教訓を、最終予選で思い出させるように言った。

 手倉森監督がダジャレを飛ばすと、すかさず「テグ」と「グッド」を掛け合わせ「テグゥ~」と返していたアギーレ氏。「いい結果が出ることを祈っている。リオデジャネイロで会えることを楽しみにしている」と再会を熱望した。日本語で「ガンバッテクダサイ、テグ!」と結び、直筆メッセージも寄せた。

 前回ロンドン五輪で金メダル、メキシコの名将からのエールに手倉森監督は「力を出し惜しみせず、すべてを準決勝に投入する。すっきり90分で勝ち、胸を張ってリオに乗り込みたい」。五輪出場を決めて恩師に成長を示す。【木下淳】