開幕へ、大ピンチだ。J2札幌の元日本代表MF小野伸二(35)が26日、熊本県大津町運動公園球技場で行われたJ3レノファ山口との練習試合で、左膝を痛めて途中交代した。2本目に3トップ左で先発したが、27分に左膝の違和感を訴え、退いた。熊本市内の病院で検査した結果、手術歴のある靱帯(じんたい)を痛めたことが判明。今日27日からはリハビリ組で経過を観察することになった。

 雨が降りしきるグラウンドで、10日後に開幕を控えたチームをアクシデントが襲った。山口との練習試合。2本目の時計が、半分を過ぎた頃だった。3トップ左で出場していたMF小野が、敵陣中央付近で左足を押さえてうずくまった。

 痛みに耐えるように顔をしかめた。立ち上がれない。本人いわく「“かくん”と来た」。無念の途中交代。やっとのことで足を引きずりながらピッチの外へ出ると、自らベンチへ「×」サインを送った。

 周囲を不安にさせないためか、試合後はいたって明るい笑顔を振りまいた。「自分ではやろうと思ったけど。周りから『やめとけ』と言われたことが、いい方向に出れば」。アイシングをしながらも、しっかりとした足取りで球技場を出ると、佐川トレーナーとともに熊本市内の病院へ向かう車へ乗り込んだ。

 精密検査の結果、左膝の靱帯が緩んでいることが判明。現時点では問題がなくとも、今後、負荷をかけ続ければ、大事に至る可能性もある。そのため、今日27日からは、リハビリ組で調整を続けながら、経過を観察することになった。

 小野は浦和に在籍した日本代表時代の99年、シドニー五輪アジア地区1次予選で、左膝靱帯断裂の重傷を負った経験がある。当時の執刀医で、その後、小野が主治医と頼む医師に判断を仰ぐ可能性もある。開幕へのカウントダウンが始まっているとはいえ、これまでに左足首など過去9度の手術歴があるだけに、慎重な判断が求められる。【中島宙恵】

 ◆MF小野の昨季故障 7月に加入も、8月10日京都戦で右太もも裏を痛めて負傷交代。再調整後、全体練習に合流したが、10月24日の練習中に左膝痛のため再び離脱した。公式戦復帰は11月23日リーグ最終戦の磐田戦で、後半から途中出場。12年清水以来2季ぶりのJリーグは無得点で終わった。