48歳になったJ2横浜FCのFWカズ(三浦知良)が、群馬とのJ2開幕戦で9年ぶりの開幕スタメン出場を果たし、プロ30年目のシーズンをスタートさせた。リーグの先発は2年ぶり。堂々の開幕スタメンで自身の持つJリーグの最年長出場記録を48歳0カ月10日に更新した。後半20分までプレーして得点はなかったが、勝利に貢献。日本サッカー界のキングは年男の今年もピッチで輝き続ける。

 キングカズが開始から開幕戦のピッチに立った。入場の列では、お決まりの最後尾に。背番号11は、11人目で堂々と左足から30年目の戦いの場に入った。開幕スタメンは9年ぶり。決して選手寿命が長いとはいえないサッカー界で、8年も遠ざかれば再び開幕の11人を勝ち取ることはほぼあり得ない。異例のことだ。さすがに48歳の年男も、特別な感情を抱いていた。

 「みんなが出たいと思う開幕戦にスタメンで出ることができた。年がいもなく、ちょっと緊張して、あがっていた(笑い)。でも不思議と(開始の)笛が鳴ったらリラックスできた」

 2トップの一角でボールを追い、よく走り守備でも貢献した。1度だけヒールパスを披露したが、後半20分に交代するまで終始シンプルなプレーで勝利に貢献。シュートは0本。「ゴールを意識していた。できれば決めたかった」と悔しがった。それでも、11人のうちの1人として仕事を遂行。チームに欠かせない存在であることを印象付けた。

 昨季は開幕前のけがもあり、リーグ出場はたった2試合。ともに途中出場で出場時間は合わせて4分だけだった。「去年は本当に悔しい思いをした」と言い、今オフは恒例のグアムでの自主トレも1回から2回に。昨年12月上旬には早々と始動した。こうしてプレーすることに周囲は疑問を持たないが、48歳が節制し、毎日練習し、プロ契約を結んで公式戦に出ている。それも運動量が要求されるサッカーで。これだけで驚きの出来事だ。

 もっとも、カズにそんな重苦しい考えはない。前半9分にFW大久保がゴールを決めると、チームメートと笑顔で揺りかごダンスを決めた。しかし「誰のためか分からずにやってました」とノリだけで加わっていた。MF渡辺の第1子がこの日朝誕生し、そのお祝いだったのだが細かいことは気にしない。これも長寿の秘密かもしれない。

 アウェーの正田スタは群馬のJ昇格後初めて観客が1万人を超えた(1万1198人)。これも当然、カズ効果。見たいのは揺りかごより次節15日の栃木とのホーム開幕戦でのカズダンス! つまりは、キングの記録的今季初ゴールだ。【八反誠】

<カズ記録アラカルト>

 ◆唯一の「J23年生」 連続シーズン出場記録を23年連続に更新。Jリーグが創設された93年からリーグ戦に出場し続ける唯一の選手。連続シーズン得点は11年が無得点で、18年連続でストップしたが、連続シーズン出場は継続中。

 ◆開幕戦出場 13年3月3日の岐阜戦で後半43分から途中出場して以来2年ぶり。開幕スタメンはとなると、06年3月4日の愛媛戦以来9年ぶり。このときは83分間出場したが、横浜FCは0-1で敗戦。