柏はホームで山東(中国)を下し2勝1分けの勝ち点7、2位で折り返した。前半23分、FW武富孝介(24)のゴールで先制。後半6分に追いつかれたが、1-1の後半ロスタイムにDF輪湖直樹(25)が頭で劇的な勝ち越しゴールを決めた。

 マンマークがついている前線の選手を横目に、左サイドバックDF輪湖が最終ラインから上がった。1-1で迎えた後半ロスタイム、右サイドのFWクリスティアーノと一瞬、目が合った。残っている体力を使い切って試合を終えたいと加速した。そのままフリーでゴール前に入り、山なりのクロスに頭を合わせた。

 チームメートが駆け寄り、GK菅野も走って歓喜の輪に加わった。「よく覚えていないけど、残り少ない時間で、チャンスはここしかないと思って飛び込んだ」と振り返った。MF大谷は、ゴール前の輪湖を見て「何かの間違いじゃないかと思った」と話し、山東のクカ監督には「最後の1点は、日本のチームを褒めるしかない」と言わしめた。

 柏での初得点が、決勝弾になった。柏の下部組織で育ち、吉田監督の指導も受けた。当時、試合中のプレーに怒った同監督に突っかかり、ベンチ前で言い合いになったこともあったほどの熱血漢だ。J2を経て、昨季から柏に復帰したが出番はなく、リーグ戦4試合のみ。今季から再び吉田監督の指導を受け、U-22日本代表のDF山中とレギュラー争いをしている。

 4月8日の次戦、敵地での山東戦に勝てば1次リーグ突破が決まる。殊勲の171センチのサイドバックは「チーム一丸となって戦えている。あと3試合、勝ち越して1次リーグを突破したい」と笑顔で話した。【保坂恭子】

 ◆輪湖直樹(わこ・なおき)1989年(平元)11月26日、茨城県出身。柏U-12、15、18と下部組織で育ち、08年に甲府入り。10年に徳島へ移籍し、12年に水戸へ。柏入りした昨季はリーグ戦4試合出場。利き足は左。171センチ、65キロ。血液型A。