川崎FのFW大久保嘉人(32)が、カズ(三浦知良、J2横浜FC)にあと1点と迫った。アウェーの仙台戦で、2-2で迎えた後半41分、左クロスに右足を合わせて決勝ゴール。今季5点目でJ1通算138得点(歴代5位)とし、カズの持つ139点超えにまた1歩近づいた。

 ゴール裏へ走りだした瞬間、大久保のJ1通算得点を表す「YOSHI METER」が「138」に更新された。一時は逆転しながら追いつかれ、2-2で迎えた後半41分、FWレナトのファーサイドへのクロスを右足で押し込んだ。「いつも狙っている形。やっと来たな、と思った」と振り返った。

 チームの全得点に絡む活躍だ。後半25分に巧みな縦パスでFW小林のゴールを演出すると、2分後にはスルーパスでFWレナトの得点もお膳立て。それでも「うれしくないとは言わないけど、アシストはあんまり。自分で点を取りたいと常に思っているから」とチャンスを狙っていた。これでカズの139点へ、あと1点と迫った。次節のホーム甲府戦(25日)で複数得点を挙げ、一気に超える可能性もある。「まだまだ伸ばしていきたいね。カズさんの記録は超えたいですね」と照準を定めた。

 3季連続得点王を、十分に狙えるペースだ。6節を終え5得点。1試合平均約0・8点と好調をキープしている。初めて得点王を獲得した13年シーズンは、同じ時点で2点のみだった。「まだ6節ですけどコンスタントに点を取れていて、(得点数が)いつもより早い」と好感触だという。

 今季、得点ランク上位にはG大阪FW宇佐美、東京FW武藤ら若い世代が名を連ねる。しかし、2季連続得点王は「争いは、相手とするんじゃない。自分とのプレッシャーの闘い」と言う。シーズン終盤、優勝争いや得点王争いが激化する中でいかに決められるか、だ。10歳年下の後輩たちへ「そのプレッシャーに勝つ経験をすれば、(選手として)強くなると思うよ」と余裕のメッセージを送った。【保坂恭子】