川崎FのFW大久保嘉人(32)が、3連敗中のチームを救った。前半45分、味方のクロスに相手DFの死角から前に飛び込み先制ゴール。この1点を守りきって、4試合ぶりの白星を手にした。司令塔MF中村をけがで欠く中、代わりにキャプテンマークを巻いたエースが“イケメン級”の奮闘を見せた。12日から代表国内合宿を控えるベテランは、若者に負けない実力と勢いをキープしている。

 大久保が、名古屋の若きFWの前で貫禄を見せつけた。前半45分。MFエウシーニョが右サイドからゴール前へ低いグラウンダークロスを出す。相手DFの死角にいた大久保は、絶妙なタイミングで前に飛び出し、左足で押し込んだ。

 大久保 相手が、ボールウオッチャーになった一瞬を突いて前に入れればと。ボールがどこに来ても、体のどこかに当てられるようにと。自分の得意な形。

 12日から始まる代表国内合宿に、弾みを付ける決勝ゴールだった。欠場の中村に代わりキャプテンマークを託されたエースは「憲剛さんがいない中、やってやるという気持ちもあった」。中盤で組み立てにも参加し、エリア内ではスルーパスで決定機も演出した。

 「下がって受けて裏も狙う。相手につかまえにくいようには意識した」と振り返った。代表選出の際は長男から「ブッサイクやなあ」と辛口祝福も、この日は技ありゴールを含めイケメン級の活躍ぶり。それでも「あえて自分から格好良かったとは(長男に)言わない」とクールに話す姿も、またイケメン級だった。

 今季早くも8得点。世代交代が叫ばれる中でも、結果を出し続けることで代表合宿メンバーの座をつかんだ。それでも喜びは口にしない。

 大久保 (ベテランは)若手よりチャンスは来ない。ちょっとでも落ちれば若い方を選ぶだろうし。これから先、選ばれ続けないと意味がない。自分がリーグでコンスタントに結果を出すことが大事。

 過密日程もフル出場を続け「疲れを感じない」とケロリ。この日は母の日で「この体をつくってくれたのは母。プレゼントは贈りました」と丈夫な体に育ててくれた母千里さんへの感謝の気持ちも忘れない。

 代表合宿では最年長メンバーになる。「若い選手に負けない姿を見せたい。自分に話しかけてこないと思うから。自分から話していきたい」。チームの連敗を3で止めたエースは、合宿でもプレーはもちろん頼れる兄貴として存在感を発揮する。【岩田千代巳】

 ◆大久保の長男碧人(あいと)君(9)の辛口祝福 代表合宿に選出された翌日の8日朝、碧人君が川崎FからDF谷口、FW杉本も入り「イケメン(谷口)、イケメン(杉本)、ブッサイク(大久保)やなあ」とズバリ。莉瑛夫人が「せめてゴリラにしいや」と突っこんだ。家族のお笑いセンスに「オレもそう思ったけど…」と大久保は返す言葉がなかった。