浦和が第1ステージ優勝に「王手」をかけた。柏に2度勝ち越されながらも追いつき、引き分けに持ち込んだ。MF武藤雄樹(26)が、後半ロスタイムにリーグ戦4試合連発となる同点弾。今季仙台から加入の新戦力の活躍で、次節7日のホーム清水戦で優勝が決まる状況をつくった。これで開幕から14戦無敗。J新記録も樹立した。

 今年の浦和には武藤がいる。後半ロスタイム。背番号19が、最後の力を振り絞ってゴール前に駆け上がった。「来るかなと思った。最高のボールだった」。関根の高速クロスに、ヘディングで合わせる。GKの右を破ってネットを揺らし、目の前の浦和サポーターを喜びで爆発させた。

 チームは開始33秒で、MF梅崎が得点。最高の滑り出しだったが、そこからが苦しかった。前半2失点で勝ち越され、後半にDF槙野の得点で追いついても、再度突き放された。

 今季初の敗戦がちらつき始める。暑さとカウンターの応酬で体力が奪われたことで、周囲が次々と足をつらせた。そんな苦境でも、武藤は攻守に走り続けた。「きつくても、足はつらなかった。もっといけたのかも」。走りきった先には、ご褒美があった。リーグ4戦連発は、クラブでは07年ワシントン以来。試合後にはDF森脇から「レジェンドだな」とたたえられた。

 「試合に出続けられて、今はとにかく幸せ」とうなずく。仙台入団当時は手倉森監督から「将来の大黒柱。日本代表に育て上げたい」と言われ、点取り屋として期待するサポーターからは、以前所属した佐藤寿人と同じ応援歌を贈られた。

 しかしそれが重圧にもなり、公式戦では決定機を生かせなくなった。練習でヘディングのつもりが肩でゴールし、かえって居残り練習を課せられたことまであった。そんな折、FW柳沢のプレーを注視するようになった。パスを引き出すため、ボールがないところでも精力的に動く。得点だけが仕事じゃない-。プレーの幅が一気に広がった。

 パスを引き出すために前線を広く動き回り、必要なら自陣まで守備に戻る。新しい武藤スタイルは、ペトロビッチ監督が求める選手像に、ピタリと一致した。首位を走るチームを、不動の先発として引っ張る。リーグ全体でも、今季最高の補強と言っていい。

 武藤は「得点以外の内容にこだわりたい。そういう意味で、今日の試合も決して満足できない」と表情を崩さない。苦労人がチームに勝負強さ、たくましさを加え、浦和の無敗独走は続く。早ければ次節清水戦で、早くも第1ステージ優勝が決まる。【塩畑大輔】

 ◆武藤雄樹(むとう・ゆうき)1988年(昭63)11月7日、神奈川県生まれ。武相高から流通経大に入り、4年時には主将としてベストイレブンの活躍。11年に仙台に入団。15年に浦和に移籍。170センチ、68キロ。血液型AB。