清水は松本に力負けし、残留は絶望的となった。前半36分にFKから先制点を献上。警戒していたセットプレーでリードを許すと、後半は単調な攻撃ばかりが続き、決定機すらつくれなかった。勝ち点差3で追っていた相手との直接対決に敗れ、年間順位は最下位のまま。次節仙台戦(17日)の結果次第で、クラブ史上初のJ2降格が決まる可能性が出てきた。

 試合終了の瞬間、清水の選手らはがっくりうなだれ、ピッチに座り込んだ。J1残留に望みをつないだ松本はサポーターと一体となって喜びを分かち合う。J1生き残りをかけた直接対決で勝者と敗者のコントラストは鮮明に分かれた。

 田坂和昭監督(44)は「結果が出せず、申し訳ない。これが現状です」と完敗を認めざるを得なかった。前半36分に警戒していたFKから先制点を献上。1点を追う後半はロングボール主体の単調な攻撃が続き、サイドからのクロスも直接ゴールラインを割るシーンが目立った。パワープレーを得意とする相手に同じ戦術で挑めば、術中にはまることは分かっていたはずだ。

 「芝が長くてつなぐのは難しかった」。「相手のサッカーに合わせてしまった」。試合後の選手から口をつくのは言い訳ばかり。闘志を前面に出したプレーは空回りし、逆に冷静さを失って変化もないまま、ただただ90分間が過ぎただけだった。FW大前元紀(25)は「同じサッカーをしたら相手の方が上。ホームの時と同じことを繰り返してしまったことが悔しい」と力なく話した。

 監督交代後もチームは8戦勝ちなし。次節ホーム仙台戦の結果次第では初のJ2降格が決まる。この日、FW鄭大世(31)は今季3度目の警告を受けたため、次戦は出場停止。敗戦が許されない状況に追い打ちをかける緊急事態だ。田坂監督は「前を向いて戦う」と強がったが、現実は極めて厳しい。93年のJリーグスタートからJ1を死守してきた清水だが、現実はJ1初挑戦の松本に勝てない。これが今の実力だ。最悪の結末は避けられなくなってきた。【神谷亮磨】