ピッチに崩れ落ちる者。立ち尽くす者。浦和の選手たちは不条理にも思える結末を、ぼうぜんと受け入れるしかなかった。シュート数23対15。ボールも支配し続けた。「でもすべては結果ですから」。MF阿部勇樹(34)は、絞り出すように語った。

 ロスタイムも含めて、試合終了の4分前。試合を決める失点を、MF柏木陽介(27)は「一瞬、みんなの気が抜けてしまったように思う」と振り返る。相手のバックパスがGKの頭上を越え、左ポストをたたいた。もう少しで幸運すぎる決勝点という瞬間に、何人かの選手たちは魅入られてしまった。そして、跳ね返りのボールを拾ったGK東口から、正確にパスをつないだG大阪のカウンター攻撃への反応が遅れた。

 限りなく勝利に近づいた瞬間もあった。同点で迎えた後半ロスタイム4分。MF武藤が右からのクロスの場面でファーサイドでフリーに。しかしヘディングシュートは東口にはじかれた。こぼれ球に詰めるも、今度は体を投げ出すMF遠藤に防がれた。「あれを決めなかった自分の責任は大きい」と肩を落とした。

 柏木は「今は感情的な言葉しか出てこない」と首を振って取材エリアを去った。史上初のステージ無敗V。昨年までの年間最多記録に並ぶ勝ち点72。着実に年間王者に迫ってきたチームの歩みが、一瞬にして止まってしまった。【塩畑大輔】