東福岡が国学院久我山(東京A)を5-0で下し、2連覇した98年度大会以来3度目の優勝と、全国高校総体との2冠を達成した。

 東福岡の森重潤也監督(50)が苦労の末、ついに悲願を成し遂げた。福岡ブルックス(現福岡)の主将を務めた95年限りで現役を引退した。その後、福岡の下部組織で普及活動に携わる中、志波監督と出会った縁で98年から同校コーチになった。もともと高校ではなく、Jリーグの指導者を目指していた。選手権に同行し「もっとやりたい気持ちがわいた」と魅了された。

 コーチとしていきなり98年度の連覇に関わったが、02年の監督就任後は順風満帆でなかった。「またすぐそういうチームができるかと思ったら17年かかった」。選手権では8強が2度。特に10年度から3大会連続で出場を逃した時は「なぜ、なぜ、なぜ。何で勝ち上がれない」と苦しんだ。

 優勝候補筆頭と評された昨季も中島(横浜)や増山(神戸)ら個人技に優れる選手がいたが、3回戦敗退。それでも森重監督は前向きだった。「前回はそういう選手があまりに多すぎた。全然収拾がつかなかった」。教訓を新チームに反映させた。「好きなサッカーなんだから、俺はこれでいく」と我を通し続けるMF三宅のレギュラーを剥奪するなど、鬼になった。改心した三宅が決勝では先制点をもたらした。指揮官は今チームの強さを「真面目なやつ、一生懸命戦うやつをベースにしながら、思いきり行けるやつがうまくミックスされたんじゃないか」。17大会ぶりの戴冠でも、挑戦の日々は続いていく。【菊川光一】

 ◆森重潤也(もりしげ・じゅんや)1965年(昭40)11月24日、横浜市生まれ。横須賀学院高を経て日本リーグの全日空、JFL福岡ブルックスなどに所属。95年の引退までDF、MFをこなしユーティリティープレーヤーとして活躍。東福岡では98年からコーチ、02年から監督。