浦和が特訓モードの練習試合で、今季開幕へ向けギアを上げた。2日に合宿中の鹿児島・指宿で、東海大熊本と45分×4本の練習試合。ミハイロ・ペトロビッチ監督(58)は、相手11人に対し10人で戦う変則形式の実戦を命じた。運動量だけでなく、高度な連動性も要求される数的不利な状況で各自90分プレーさせ、フィジカルと戦術両面のレベルアップを狙った。

 1、2本目で計90分プレーしたMF武藤は「相手は10人って分からなかったらしいよ」と胸を張った。浦和は大学生との練習試合に10人で臨んだ。フィールドプレーヤー9人で、10人分のスペースをカバーする。1・1倍以上の運動量が必要だったが、選手たちは幅広い動きで埋め合わせた。

 MF青木、高木、駒井が負傷で離脱中。湘南から新加入のDF遠藤は、リオデジャネイロ五輪のアジア最終予選から帰国間もないことを考慮され、まだ合宿に合流していない。頭数が足りず、2試合分のチームは組めない。しかしペトロビッチ監督は、この状況を逆手にとって「特訓モード」を選手に課した。

 3、4本目に出場したDF森脇は、右サイドの80メートルほどを上下動してカバー。「休む間がねぇー」と絶叫しつつプレー。MF梅崎は「パスコースをつくるのも難しいので、いつも以上に顔を出す意識が必要。アタマも使いながらのプレーで、すごくいい練習になりました」とうなずいた。

 昨年末に左ひざを負傷し、オフ明けも出遅れていたMF柏木も65分間プレーした。「サッカー始めて2日なのに、最初は90分間出ろって言われるし」と苦笑しつつ、久々の実戦をこなして充実の表情をみせた。

 試合終了後、ペトロビッチ監督は「すぐに交代浴でケアするように。明日も午前中からいい練習をしよう」と選手に2部練習を宣告。軽めの1部練習を予想していた面々からは「うそー」と声も上がったが、すぐにおとなしくなった。指揮官をいじりきれなかったDF槙野がつぶやいた。「監督、顔がマジだもの」。【塩畑大輔】