今季J2に昇格した町田が初めて首位に立った。0-0の後半31分、FW中島裕希(31)が決勝点を奪い、1-0で長崎に競り勝った。札幌に0-1で敗れて今季初黒星のC大阪を得失点差で「1」上回った。4年ぶりのJ2参戦。「22番目のチャレンジャー」の精神で、2月28日の開幕C大阪戦に敗れた後は、8戦負けなし(6勝2分け)と快進撃を続けている。

 試合終了を告げる笛が鳴る。昇格組の町田がついに首位に立った。ただ試合直後は実感が湧かないのか、ガッツポーズする選手はいない。少し間が空いてからハイタッチ。ようやく笑みがこぼれた。これで6勝2分け1敗。3年連続チーム得点王のFW鈴木は「1位の景色が分からない。本当に1位ですか?」と半信半疑だった。

 無理もない。4年前に戦ったJ2では最下位の22位。今季も入れ替え戦でJ2に滑り込んだ“降格候補”。開幕前の目標は「J2残留」だった。この日の先発のうち4人が新加入だが、昨季J1でプレーしたのは決勝点ゴールを決めた前山形の中島だけだ。

 相馬監督がいつも選手に繰り返す言葉が、快進撃の支えとなっている。「我々は22番目のチャレンジャーだ」。昨季の入れ替え戦で、最後にJ2を決めた。だから、J2の22クラブの中で、一番弱いという自覚がある。技術では負けるが、泥くさく戦うことがモットー。闘争心、球際の強さを求めてきた。

 後半31分の決勝点もそうだった。鈴木が前線へ抜け出し、DFに体を寄せられたが、球際で負けなかった。倒れ込みながら出したパスを中島が流し込んだ。9戦5発で得点ランク3位の中島は「つないでくれたみんなの得点」と話した。

 気のゆるみはない。就任3年目の相馬監督は「38、39節でしたら、違った心境ですけど、先は長い。1試合1試合積み重ねていくしかない。順位は僕自身は気にしない」と言う。鈴木も「やることは変わらない。謙虚なチャレンジャー」と強調した。過去にJ3から昇格後、1年でJ1に昇格したクラブはない。史上最大の下克上を遂げてみせる。【上田悠太】