新潟は1-2で名古屋に敗れ3連敗を喫した。21本のシュートを浴びて、前半25分と後半16分に失点。終始劣勢に立たされたが、後半19分に、今季初出場、初スタメンの新加入FW端山豪(23)が、右足で「プロ初ゴール」を決めて一矢報いた。新潟は次節(30日)、ホーム(デンカS)で甲府と対戦する。

 端正なマスクが一層引き締まった。ゴールを確認したFW端山は、表情を緩めることなく、リスタートに備えた。後半19分、MF加藤大(24)のパスに合わせて相手守備の裏に抜け出す。左足でトラップをすると、右足でボールを浮かせる。「(GKが)高い位置にいるのは見えていた。DFの裏に抜けて、ボールをトラップした後に判断した」。弧を描いたボールはマウスに収められた。

 今季初出場がスタメン。慶大4年で特別指定だった昨季のセカンドステージ第14節松本戦でJリーグ初ゴールを決めている。プロ入りしてからは、これがリーグ戦初出場、初得点だ。

 「早くもう1点取らないと、という感じだった」。昨季のゴールは先制点。当時の柳下正明前監督(56)と抱き合って喜んだ。この日は追い上げの1点。後半16分に名古屋MF永井謙佑(27)に2点目を奪われた3分後、相手に勢いを与えたくない時間帯。喜びよりも緊迫感が強かった。

 それだけに、試合終了間際、ゴール前の混戦から放ったシュートを相手GKに阻まれると、思いきり顔をしかめた。「チャンスは個人的にあった。悔しさの方が大きい」。プロ初得点よりも、敗北の重さがしみた。

 吉田達磨監督(41)は「ゴールも決めて、ああいったところが端山。もっともっと(持ち味を)出してほしい」。今季はナビスコ杯予選2試合の途中出場はあるが、リーグ戦はここまでベンチ入り2試合のみ。チャンスをうかがう日々が続いていた。それでも気持ちは折れなかった。「いつ出ても持ち味を出せるように」。得意のミドルと、裏への飛び出しは意識して取り組んできた。「初ゴール」はその成果だった。

 チームはこれで3連敗。ナビスコ杯予選を含めると4連敗と、トンネルが続く。そんな中、端山のゴールは光明になった。「チームとして勝つことにつなげたい」。前を向くルーキーが、起爆剤になる。

 ◆端山豪(はやま・ごう)1993年(平5)4月9日、東京都生まれ。成瀬高では東京Vユースに所属。U-17日本代表に選出された。卒業後は慶大へ。13年は東京Vの特別指定選手に。15年8月に新潟の特別指定選手になり、ナビスコ杯準決勝第1戦浦和戦で途中出場し、Jリーグデビュー。176センチ、68キロ。血液型A。