J2山形はホームで讃岐と対戦し2-1で勝利した。前半44分にFW林陵平(29)が右足で先制点。後半20分に一時は追いつかれたが、同39分にMF汰木(ゆるき)康也(20)のゴールで勝ち越した。本拠地の名物が、そば(山形)とうどん(讃岐)というチーム同士の“麺ダービー”を制したのは山形。再出発へ大きな白星を挙げた。

 山形のそばか? 讃岐のうどんか? ホームの名物がともに麺類の、まさにJ2“麺ダービー”で、讃岐を伸ばしたのは、山形のニューウエーブ汰木だった。そばのように細身で、スルスルと器用にピッチを駆け上がるアタッカー。左サイドハーフで先発し、1-1の後半39分に勝ち越しゴールを決め、勝利に導いた。

 石崎監督が「何としても勝たないと」とげきを飛ばし臨んだ大事な一戦。多くの時間を敵陣内で攻め立てるもゴールが割れなかった前半終了間際、FW林のゴールで先取点を奪う。しかし、後半20分に失点し試合は振り出しに。伸び切る前にあと1点…。サポーターも声援のボリュームを上げ、イレブンの背中を押す。その“薬味が効いた”後半39分、勝利の女神がほほ笑んだ。

 汰木は「狙い通り、得意な形でした」。FKのこぼれ球を拾ったFWディエゴからボールが渡ると「あそこで決めなきゃいけなかった」と狙い澄まして振り抜いた。ゴール前左の角度から右足でファーサイドを狙うのは「いつも意識している自分の形」。右ポスト、相手DFと当たってゴールに吸い込まれた今季2号で、勝利をたぐり寄せた。

 今季、汰木がプロ初得点を決めた4月17日の札幌戦からチームは8戦無敗とコシが出てきた。前節で千葉に敗れ記録は止まったが、汰木のゴールで再び、無敗街道を歩みたい。勝利はいつも、そばにあるのが山形だ。【成田光季】