手に届くところまで来ていた川崎Fの初タイトルが遠のいた。最下位福岡に引き分けた瞬間、FW大久保嘉人(34)と小林悠(28)は仰向けに倒れ、十数秒、動けなくなった。大久保は「鹿島の前半終了のスコアは知っていたけど、自分たちの引き分けでもうダメだな、と思った。非常に痛い。痛いです」と悔やんだ。

 主将のMF中村が背中と腰の痛みで欠場。優勝争いの重圧の中、精神的支柱の不在は痛かった。前半9分、ロングボールからのカウンターで失点した。3試合連続無失点だった守備がばたつき、6分後にも同様の形でやられた。DF谷口は「憲剛さん不在の影響のない試合にしたかったけど浮足立った。リーダーシップをとっていける選手がいなかった」と唇をかんだ。

 攻撃も焦りから正確なパスワークが乱れ、狂った歯車は最後まで戻らなかった。大久保も「やられ方が去年のフロンターレに戻っていた。みんなが自信を持ってやれていなかった。結果論だけどプレッシャーに弱いように見えた」と、チームの激変ぶりに首をかしげた。

 前半22分、今季加入し堅守を支えてきたDFエドゥアルドが左太ももを痛めて退くアクシデントもあった。川崎Fが優勝争いを繰り広げた09年、残り3試合の時点でJ2降格が決まった大分に敗れ、鹿島に逆転で優勝された苦い歴史がある。当時の悔しさを知るDF井川が入って、3失点目は許さなかったが、序盤の2失点は痛すぎた。

 2位と追う立場になったが「万年2位」から脱することをあきらめていない。大久保は「福岡が今日みたいに、次の試合で鹿島相手にやってくれるかもしれんし。勝てばまだ優勝のチャンスはある」と、すぐさま切り替え、次節の大宮戦を見据えた。【岩田千代巳】

 ◆「博多の森の悲劇」VTR 川崎FはJFL時代の98年11月19日、レベスタ(博多の森球技場)で行われたJ1参入決定戦1回戦で104分の死闘の末に福岡に敗れた。後半16分に2-1とリードし、選手交代などで逃げ切りを図ったが、後半ロスタイムに失点。延長前半14分に福岡のMFフェルナンドにVゴールを決められた。勝ち点1差でJFL2位以内に入れず、Jリーグ昇格を逃した97年に続いて悔しさを味わった。99年にはJ2の1位でJ1昇格を決めた。