川崎FのFW小林悠(28)が、J1記録にあと2試合に迫る6試合連続得点を決め、3-2で湘南に競り勝った。後半15分にCKから頭で押し込んだ今季12点目が決勝点となった。FW大久保のJ1通算最多得点記録を更新する169得点目、DF車屋のプロ初ゴールも生まれ、最後は1点差に迫られながらも振り切った。チームは15戦不敗で第2ステージ首位、年間勝ち点1位をキープした。

 小林の勢いが止まらない。後半15分。MF橋本が蹴ったCKを中央で頭でしっかり合わせた。6試合連続得点は、J1記録にあと2試合に迫ると同時にクラブ新記録。ゴール後は両手で「6」をつくり、それまでの記録を持っていた、尊敬する先輩FWジュニーニョを抜いた喜びを表現した。「ジュニーニョを超えるのは素直にうれしい」。J1記録が「8」と知ると「あまり考えすぎずに普段通りやれれば。チームが勝つことを考えてやっている結果がゴールに結びついている。この気持ちを忘れずにいれば点は取れると思う」と貪欲だ。

 昨季までは、得点が取れなくなると悲愴(ひそう)感を漂わせていたが、今季は「入るときは入る、入らないときは入らない」と、好機で外してもすぐに切り替え、毅然(きぜん)とシュートを打ち続ける。5月中旬から4試合連続で得点が取れない時期もあった。だがストライカーとしての変貌を間近で見ているMF中村は「悠はケチャップのふたが開いたら止まらなくなる」と予言。その言葉が的中し、ゴールラッシュが続いている。

 夏場は1試合で体重が3、4キロ減るが、管理栄養士の資格をもつ妻がつくる旬の野菜を取り入れた食事と、たっぷりの睡眠で好調を維持している。長男結翔くん(2)は、夏は朝5時に目覚める。以前は起こされることがあったが、今は「パパをゆっくり寝かしてあげようね」という家族の言葉を理解。決められた朝6時に起こし「パパ、ゆっくり寝られた?」と笑顔で癒やす。

 今年は次男の真翔(まなと)くんが誕生した。結翔くんが生まれた14年も、シーズン自己最多の12得点をマーク。今季は既にこれに並び、自己新の更新は時間の問題だ。家族への感謝を胸に、チームの勝利のために得点を重ね続ける。【岩田千代巳】

 ▼J1連続試合ゴール 川崎FのFW小林が第2ステージ開幕から6試合連続得点。J1で6戦以上連続ゴールは昨季第1ステージ5~10節に鳥栖FW豊田が達成して以来、史上20人、22回目(中山とマルキーニョスが各2回)。川崎Fでは初。連続試合得点のJ1記録は横浜のFWサリナスが97~98年にマークした8戦連続。2位の7戦連続は過去5人。今回の小林の6戦連続は7位タイとなる。