藤枝順心(東海1位)が1-0で作陽(中国)を下し、5度目の挑戦で初の総体Vを飾った。0-0で迎えた後半20分、途中出場のMF上田桃(2年)がゴール前のこぼれ球を頭で押し込んで決勝点を奪った。1月の全日本選手権優勝メンバー2人の離脱を含め、故障者が続出。タレント不在の中でもチームの総合力で、同選手権に続く2大会連続の全国制覇を達成した。県勢の総体サッカーVは1996年(平8)、男子の清水商以来、20年ぶり。12年から正式種目の女子では初制覇となる。
広島の青空に、藤枝順心イレブンによる1本指がそびえた。MF福田ゆい主将(3年)のかけ声に合わせて全員が叫んだ。「順心! NO・1!」。5度目の挑戦でつかんだ悲願の頂点。歓喜を告げる“お決まり”ポーズが何度も決まった。
互いに無得点で迎えた後半20分。MF福田ゆのFKを相手GKがはじいて浮いたこぼれ球に、途中出場のMF上田桃(2年)が反応した。頭で押し込んだ上田が「ゆいさんは絶対に良いボールを蹴ると思っていた。自分は詰めることだけを考えた」と言えば、福田ゆも「よく狙っていてくれた」と感謝した。前半の接触プレーで右膝を痛めながらも、ピッチに立ち続けた主将に応える1点が、値千金の決勝点となった。
今年の「強さ」を物語る全国Vだった。今季のチームは、U-17、20日本代表のFW児野楓香(18=日体大)を擁して全日本選手権を制した昨年とは違い、絶対的なタレントが不在。さらに、同大会で主力だったDF安部由紀夏(2年)とFW岩下胡桃(2年)が現在、故障離脱している。福田ゆとDF鈴木杏那(3年)も、出場が危ぶまれるほどのけがを抱えながら臨んだ大会だった。
それでも、初戦からの4試合で奪った6得点は5人の選手が記録。守備陣も、わずか1失点と「個」の力に頼らないチームの「総合力」で真夏の連戦を勝ち抜いた。多々良和之監督(52)は「このチームが、まさか優勝するとは思わなかった。子供たちの喜ぶ顔が見られて幸せです」と、笑顔の教え子たちを頼もしそうに見つめた。
地元静岡では、20日から2連覇を目指す全日本選手権の県予選が幕を開ける。藤枝順心(スーパーシード)の初戦は、10月15日の準決勝。福田ゆ主将は「ここからは追われる立場になる。現状に満足しないで、連覇できるように、もう1度チーム全員で頑張っていきたい」と視線を上げ、新たな目標へと1歩を踏み出した。【前田和哉】



