6年ぶりの出場となったJFLのホンダFCが、カテゴリーが2つ上のJ2岐阜を撃破した。延長戦の末に2-1。延長後半ロスタイムに途中出場のFW宮内啓汰(25)が、県決勝戦から2試合連続となる決勝ゴールを決めた。9月3日の2回戦では、J2松本と徳山大(山口)の勝者と対戦(午後4時、松本)する。

 ホンダFCの執念が、土壇場でゴールをこじ開けた。1-1で迎えた延長後半ロスタイム。右サイドを抜け出したFW大町将梧(24)の高速クロスに、FW宮内が走り込んだ。中央で懸命に左足を伸ばして放ったシュートは、ネットを揺らした。数分後に勝利を告げる笛が鳴り響くと、ヒーローは胸を張った。

 宮内 良いボールが来たので、自分は決めるだけでした。守備陣も必死に踏ん張っていた。この1点は全員で奪ったゴールです。

 21日の県予選決勝ではJ3藤枝を倒した。そしてこの日、120分間走り続けた先に待っていたのは、J1名古屋など対Jリーグ勢3連勝で8強入りした07年以来の「ジャイアントキリング」だった。

 仲間の声が劇的勝利を呼んだ。決勝弾直前、宮内は攻撃よりも守備の意識を高めていた。延長後半ロスタイムという時間帯に加えて、相手は格上。PK戦も考えた上での判断だった。だが、DF富田湧也(24)が掛けた「攻めに行って」の一言でゴール前へ猛ダッシュ。値千金のゴールを決めた。富田は「みんな限界で他に走れる選手がいなかった。(宮内は)県決勝でも点を取っていて『持ってる』と思ったので」と笑顔で理由を明かし、宮内も「あの声がなければ、得点はなかったです」と感謝した。

 2回戦は、現在J2で2位の松本と徳山大の勝者と対戦する。会場は松本のホームスタジアム。順当なら相手も松本になるが、宮内は「プロと公式戦で戦える機会は天皇杯しかない。大観衆のスタジアムを楽しみながら、次も勝ちたいです」と頼もしい言葉を並べた。【前田和哉】