J2横浜FCのFWカズ(三浦知良、49)が、26日の50歳誕生日に迎える開幕戦でのゴールを宣言した。昨季2冠のJ1鹿島とのプレシーズンマッチで今季初先発。シュート0本、無得点でも、またぎフェイントなどで観衆を沸かせた。前半のみの出場だったが、攻守に走り回って1-0の勝利に貢献。クラブW杯でも準優勝した強豪との一戦で、「J史上初50歳弾」へのスイッチが入った。

 49歳のカズが、37歳のMF小笠原を吹っ飛ばした。前半34分、後ろから猛然と襲いかかり、転倒させた。反則の笛に首を振りながら苦笑い。気迫のこもった激しさで「向こうはうれしそうだったよ。あれはファウルじゃないよ」と笑顔。小笠原も「頑張れって言ってもらった気がします」。J最強クラブとの対戦が、カズ魂に火をつけた。

 背番号11は攻守でピッチを走りまくり、得意のまたぎフェイントも見せた。FWイバの得点以上に、6523人の観客をどよめかせた。守備では前線からのプレスだけでなく自陣ゴール前まで戻り、クロスボールをクリア。体を伸ばしたスライディングタックルも、自然に体が動いていた。「相手がアントラーズですから、リーグ戦以上のものを感じさせてくれた45分間。鹿島は6~7割くらいの力しか出していないんでしょうけれど、挑むための緊張感を与えてもらった」。白髪交じりの頭をかき上げながら、充実感に満ちた笑みが止まらなかった。

 松本とのJ2開幕戦(ニッパツ)の26日に50歳の誕生日を迎える。「周りのみなさんが盛り上げてくれているので、応えないといけない気持ちはある。ゴールを決めて勝てたら一番良い」。昨年8月7日のC大阪戦以来の得点で、感謝の意を伝える。同戦では自粛した「カズダンス」も披露できれば、本拠ニッパツでの“誕生日会”が大盛況となることも自覚している。

 出場時間は先月28日の九州リーグ宮崎戦で15分、同31日のJ3鹿児島戦では30分で、この日は45分。「開幕にコンディションを上げながらたどり着ければいい。次は攻撃で見せ場を増やしたい」。6日のJ2長崎戦は欠場予定も、日本代表MF清武が復帰した8日のC大阪戦は「また先発するつもり」と意欲を示した。

 昨年はウルグアイ2部で54歳MFロベルト・カルモナが、高齢選手として注目された。上には上もいる。だが、史上初の50歳Jリーグ弾は間違いなく世界的ニュース。カズの準備は着々と進んでいる。【鎌田直秀】

 ◆日本での主な競技の最年長出場 プロ野球では山本昌(中日)の50歳2カ月。バスケットボールBリーグでは、折茂武彦(北海道)が46歳8カ月でこの日も出場。ラグビーのトップリーグは松園正隆(サニックス)の43歳。ノルディックスキー・ジャンプ葛西紀明(土屋ホーム)は44歳7カ月。ちなみに公営競技の現役では、中央競馬の木幡初広(美浦)が51歳7カ月、競輪の三ツ井勉(神奈川)が61歳3カ月、ボートレースの高塚清一(静岡)が69歳10カ月、オートレースの谷口武彦(浜松)が75歳2カ月で出場している。

 ◆サッカーのプロ最年長出場 ウルグアイ人MFロベルト・カルモナは、54歳で現役。1962年4月30日生まれで、昨年7月にウルグアイ2部カナディアンSCと契約。クラブ公式サイトは「54歳2カ月19日の世界最高齢を樹立」と発表した。同選手は14年と15年にギネスから「世界最高齢サッカー選手」に認定された。同12月3日にセントラル・エスパニョール戦で先発し、13分間出場。今年も在籍。1部の最年長出場記録は、初代バロンドール受賞者の元イングランド代表FWスタンリー・マシューズ。ストークに在籍した65年2月6日のフラム戦で負傷し、現役を引退。50歳5日だった。