上位進出を狙うベガルタ仙台にとって避けて通れないのは、昨季相次いだケガ人対策だ。渡辺晋監督(43)は「ケガ対策の1つ」と、今季仙台に加わったフィジオセラピスト(理学療法士)の島田周輔氏(40)に期待をする。元Jリーガーの“新戦力”だ。

 理学療法士は、運動能力の回復を支援する職業だ。島田氏は横浜や新潟でプレー後、00年に現役を引退した。現役時代は右膝の故障に苦しんだ。「ケガを繰り返していて、もどかしさはあった」。その経験から引退後、理学療法士の資格取得のために大学に進学。病院で11年間勤務した。経験を積み「原点のサッカーでやりたい」と、鳥栖で16年に現場復帰した。

 キャンプで早速成果が出た。故障者の診断を行うドクターとの連係もスムーズになったという。医学知識を持つ元Jリーガーの支えが、離脱した選手に安心感を与えた。序盤に離脱したMFパブロ・ジオゴ(24)は、島田氏とドリブル練習などをこなして復帰を目指した。「パートナーという感じ。経験者だからそれができる」と信頼する。復帰した現在、定位置確保に向けて全力を注ぐ。

 今季終了後に自分の存在価値が分かると島田氏は言う。「仙台がトップ5に入るために(故障した)選手を送り出すことが私の仕事」と語った。【秋吉裕介】