「復興のシンボル」の使命を全うする。ベガルタ仙台は10日、東日本大震災からちょうど6年となる、今日11日に行われるホーム・ヴィッセル神戸戦に向けての最終調整を行った。「3・11」に行われる初めてのJ1リーグ公式戦だ。渡辺晋監督(43)は「勝つために最大限の努力を発揮する」と誓った。イレブンは今、改めて「あのとき」を思い出し、自らを鼓舞。チーム一丸で被災地に白星を届ける。

 特別な日を前にしても、平常心だった。渡辺監督は「何ら変わることなく、地に足つけて戦うことが一番。いろいろな感情を持つだろうけど、だからといって気負うことはない」と語った。選手にも練習前のミーティングで同様の話をした。その言葉どおり、普段の公式戦前日と同じく、セットプレーの確認を行って、最終調整を終えた。

 もちろん、チームが「復興のシンボル」として戦う使命があることを忘れてはいない。指揮官は「どの試合でもやるべきことをやらないと、復興のシンボルとは言えない」と力強く語った。一貫した姿勢で戦ってきた自負があるからこそ、大一番を前にしてもプレッシャーはない。

 チームが躍進した11年と翌12年はコーチとして携わった。当時と比べて「変わったものはたくさんある。でも変えてはいけないものがある」と言い切った。伝統の布陣「4-4-2」から、「3-4-3」に変更した。すべては「タイトルを取るため」。被災地のチームとしての使命感は変わっていない。それを全うするため、真のシンボルとなるためにも、クラブ初のタイトルを残したい。

 今日の試合はJ1通算100勝目もかかっている。「それが巡り合わせで、そういう日に成果を出せれば。我々は次の100勝を目指していかないと」。苦難を乗り越え、白星を積み重ねてきた歩みを止める気はない。

 日本中が注目する試合になる。「ゲームを通して被災地の情報がいろいろな人に伝えられる」と期待する。その試合にふさわしいプレーを見せる。「戦っている姿を見せることが、まずは一番。勝利を通して笑顔を届けられる1日になれば」。ホームで開幕3連勝を決め、再び、誰もが認める復興のシンボルとして輝いてみせる。【秋吉裕介】