横浜F・マリノスからジュビロ磐田に完全移籍したMF中村俊輔(38)が、「磐田1号」でチームを変えた。大宮アルディージャ戦の前半5分にゴール左の約20メートル地点から直接FKで先制。自身が持つJ1最多の直接FKゴール記録を23に伸ばし、開幕から2試合無得点だったチームを勢いづけた。後半2分にはFW川又堅碁(27)が追加点。新戦力2人の働きで2-1で勝利した。

 敵地に駆けつけた約2500人の磐田サポーター、そしてチームメートが、一番勝利を分かち合いたい人を待っていた。試合後の会場に響く「俊輔コール」。大声援を浴びながら、中村俊が応援席前で待つ選手の列に加わると、全員で両手を上げてジャンプした。「やっと勝てた。移籍して初勝利なので、ホッとした」。開幕から3戦目での今季初勝利をかみしめた。

 待望の移籍後初得点は、やはり左足だった。前半5分、ゴール正面やや左、ゴールまで約20メートルのFK。短い助走から放たれたボールは、壁の中にいたMFアダイウトンの頭上を低い弾道で抜けファーサイドに刺さった。拳を握り振り返ると、駆け寄る仲間にもみくちゃにされた。目線の先で、サックスブルーの旗が揺れていた。中村俊は「今までの光景と違って、新しいチームに来たとあらためて実感できた」とうれしそうに笑った。

 自身のJ1最多直接FK得点を23に更新する一撃は、駆け引きで相手を上回った。「最初はニアを狙おうと思ったけど、(MF太田)吉がまたいだ時にGKが敏感に反応したので変えた。コースは甘かったけどうまくいった」。直前に右利きのMF太田が蹴るフェイントを入れると、GK加藤順は蹴る側から見て右に反応した。この動きを察知し、コースを左から右へ変更。左利きの中村俊に対してニアサイドに反応した相手の逆を完璧に突いた。

 チーム初得点に刺激され、後半2分にはFW川又がロングボールの処理にもたつくDFからボールを奪い、こちらも移籍後初得点。08年から勝利がなかったNACKで競り勝った。名波監督は「新加入の2人が点を取ったことはチームにとってプラス要素」。中村俊も「全員で少しずつ、積み重ねていきたい」と言った。新天地で輝きを放つ背番号10が、今後もチームをけん引していく。【前田和哉】