FC東京U-23(23歳以下)のFW久保建英(15=東京ユース)が鹿児島ユナイテッドFC戦にフル出場し、チーム最多のシュート4本を放った。開幕から4試合連続で先発。久保以外の10人は元日本代表FW前田遼一(35)ら全員がトップチームの選手という構成で初めて臨んだ。1-2で敗れ、Jリーグ最年少ゴール更新も持ち越しとなったが、最もゴールへの姿勢を見せていた。今月から高校1年生。U-20日本代表としても飛躍を目指す。

 夢の島が沸いた。1点を追う後半39分、ゴール正面でパスを受けた東京U-23の久保が、まず2人をかわす。柔らかいタッチで右へドリブルし、最終的に4人を引き連れながら右足を振った。DFに当たってネットが揺れた。J最年少ゴールの記録更新? と大歓声。しかし、惜しくもサイドネット。久保は左手で地面をたたいて悔しがった。

 前半も3本のシュートを放った。09、10年のJ1得点王の35歳FW前田と2トップを形成。32分には角度のないところから左足で狙ったが、右に外れた。常に大人との体格差を言われる中で「球際で逃げないようにしているので、奪って打った場面では成長している部分は出せた。ただ、決めるべきところは決めないと」と満足はできなかった。

 普段のJ3はユース所属の2種(高校)登録選手が複数いるが、今回は前田や北京五輪代表MF梶山ら、久保以外の10人がトップチームの選手。質の高いパスが届き「J1でやっている方々と初めて組ませてもらい、今日は(初ゴールの)チャンスかなと感じて積極的に打ちました」。シュート数は両チーム最多の4本と生かされた一方で「周りにすがっているようではダメ」と負けん気も見せた。

 昨年は中学生Jリーガーとして話題を集めたが、今月から高校生になる。チームは今後もJ3で久保を先発させる方針で「去年以上に結果を残せるようにしたい」。先月29日まで行われたU-20日本代表ドイツ遠征では2得点2アシスト。5月のU-20W杯(韓国)出場と、J最年少ゴール更新を目指すハイスクールライフが始まる。【木下淳】

 ◆J最年少ゴール記録 FW森本貴幸(現川崎F)が東京V時代の04年にJ1で達成した15歳11カ月28日。これを久保が更新するには、15歳11カ月27日となる5月31日までに得点を決めなければならない。だが、久保はU-20日本代表としての活動もある。5月11~15日の強化合宿、16~19日の海外遠征、20日~6月11日のU-20W杯のメンバーに招集される可能性が高い。招集された場合は5月11日から代表の活動に専念。そうなると記録更新のための残り試合はJ1が5試合、ルヴァン杯が3試合となるが、実質的には東京U-23としてのJ3リーグ戦3試合のみか。