元J1東京などで活躍したGKで、ブランインドサッカーの視覚障害者らによる5人制日本代表強化指定選手に選出された榎本達也(38=東京スクールコーチ)が15日、千葉市内の「ZOZOPARK HONDA FOOTBALL AREA(ゾゾパーク・ホンダ・フットボール・エリア)」で開始された合宿に初参加した。

 5人制ブラインドサッカーは視覚に障害があるフィールドプレーヤー4人と健常者のGKでプレーする。2月の強化合宿には練習生として参加し「心から本当におもしろい」と現役復帰を決断。高田敏志監督の「一緒に東京(パラリンピック)を目指さないか」という熱心な誘いもあり、本格スタートを切った。

 身長190センチのサイズと、20年間Jリーグで磨いた技術は別格。ただ「プレーエリアの狭さにただただ、驚くばかり」とGKの制限区域の狭さに苦戦。驚くほど至近距離からのシュート、視覚障害者独特の間合いをつかめず、練習では股を抜かれるシーンもあった。

 それでも抜てきした高田監督は「(適応できる)技術を持っている」と、変わらぬ信頼を寄せている。GKコーチでもあった同監督は「話題作りでも何でもなく(適応できる)技術を持っている。予備動作(プレジャンプ)がJリーガーの中でも少ない」と、至近距離からのシュートに対し無駄な動きがなく、なめらかに、より素早く対応できる榎本の動きを見抜いて白羽の矢を立てたことを説明した。現役引退したばかりで、ブランクがわずかしかないことも重視。筋を通すため、正式な引退発表後にオファーをするなど、最大限の配慮とともに口説き落として迎え入れた。

 もっとも、榎本自身にはまだ戸惑いもあり「正直、本当に僕で大丈夫なのかという思いはある」と正直に言う。ただ、20年への決意を「メダルを目指すと言えるように、1歩1歩やっていく」と冷静に口にした。