大分トリニータの片野坂知宏監督(46)は「狙っていました」と、セットプレーからの得点をはじめ、戦術がはまっての勝利を強調した。

 総括 まずはアウェーで湘南さん相手に、なんとか勝ち点3を取ることが出来て良かった。今季から、戦術についてトライ、チャレンジしている中、J1の経験があり、アグレッシブな湘南さんに対しても、自分たちらしいサッカーが出来るよう、スタートからやってきた。湘南さんのプレッシャーは迫力があり、非常に怖さがあった中、選手はトライしてやってくれた。前半、ああいう形でプレッシャーが来ることは想定していたんですけど、うまくはがすことは出来ても、そこからのクオリティー、判断に課題がある中、だいぶ選手も自信を付けている。トレーニングから、しっかりこだわってやれるようにしたい。後半は湘南さんが追いかける展開で、パワーを出してきて若干、受けるようになったが、その中、追加点のチャンスを決めきれるかどうかが、自分たちの戦いが出来るかということになってくる。アウェーで勝てた自信を過信にせず、勝ち点を積み重ねられるように選手を引き締めて、またやっていきたい。

 -後半に布陣を3-4-3から3-5-2にした。試合運びについて

 片野坂監督 湘南さんがハーフタイムで(FW)ジネイ選手と表原(玄太)選手を入れてきて、どういう形になるかを最初は見ていた。ジネイ選手のターゲットのプレー、セカンドボールの対応で後手になっているところがあった。それに表原君が嫌なところで受けた。ボランチ含めて、締めて修整できたらと思ったが、なかなかうまくいかず、MF姫野(宥弥)を入れて3-5-2、もしくはMF鈴木惇が疲れていたので前に上げて、姫野を表原君にマッチアップさせて守ろうかな、といった中での交代です。なかなか追加点が入らない中で、我慢強く守らなければいけなかった。湘南さんもパワーをかけてきたので、全員で粘り強く守ったが、やられてもおかしくないシーンがあった。個の対応の部分では、やはり湘南さんが上回った。少しラッキーもあったかなと思う中、勝ち点3が取れたのは良かった。

 前半、いい形で攻めて湘南を押し込んだ。攻撃の狙いはどのくらいうまくいった

 片野坂監督 今日のメンバーを見て、FW端戸(仁)君が先発だったので、前から来ると思った。我々はしっかりボールをつなぎ、相手の変化をうまく突いていく攻撃をする中で、選手が相手の変化を分かった中の(ボールの)動かし方が出来ていた。自陣でのビルドアップのところは、だいぶ自信を付けてきた。(攻撃の)最後のアタッキングサードでの質、判断は、まだまだトレーニングから積み上げていかないといけない。その中で湘南さん相手に出来たのは自信がついた。

 -前半33分にDFとGKの間でボールを回し、湘南の攻撃員をいなした際にライン際で拍手した。湘南をいら立たせ、自分たちのリズムを作ったことを評価したのか

 片野坂監督 前から端戸君がプレッシャーに来ていたが、1人しか来ていなかったので、いなすことが出来ると思った。湘南さんの守備の連動があると思った中で、食い付いて来た時に(湘南の選手が)前に来れば来るだけスペースが空いてくる。相手を引きつけたスペースを、先手を取って攻撃する戦術をやっているので、GKまでいけば必ず1人、数的有利を作ることが出来る。ビルドアップから、我々はそういう攻撃をしたいし、GKもつなぎに関わっていきたいという狙いを持ってやっていたので、そういうプレーをやってくれたことに拍手したと思います。

 -前半5分、1本目のCKからのゴールは狙っていたか

 片野坂監督 先制点は狙っていました。ただ、トレーニングで、あまりうまくいかなかったので、本番では辞めておこうかなと話をしていたんですけど。ちょっと狙いとは違いましたけど、うまくいって良かった。もう使えないですね(笑い)

 片野坂監督は会見で終始、表情を引き締め、試合を冷静に振り返ったが、決勝点の場面を振り返った最後に、ようやく笑みをこぼした。【村上幸将】