突発性の左鎖骨下静脈血栓症を患い、正式契約を延期していたMF山本脩斗(22)が29日、磐田の全体練習に初合流した。28日に医師らのGOサインが出て、この日はナビスコ杯東京V戦(31日、鴨池)に向けた紅白戦にも参加した。海外へ渡航中の鈴木強化部長が帰国次第、正式契約を結ぶ予定で昨年末、突然の悲劇に見舞われた男が、ようやく1歩を踏み出した。

 ひときわ明るい表情に包まれていた。ようやく交じることのできた全体練習。山本脩は、うれしくて仕方がなかった。紅白戦にも途中出場。高2以来というボランチでわずか10分あまりの時間だったが、そんなことは関係なかった。「やっとここまで来たかな。守備は全然、分からなかったけど、やれたのが大きい。すごい新鮮で楽しめました」。言葉が弾んだ。

 悲劇は突然、訪れた。内定を得ていた昨年12月。「左手が張る」と違和感を覚えてメディカルチェックを受けた結果、心臓に近い左鎖骨付近の静脈に、血栓が見つかった。入院を経て、プロ契約は延期。社員として業務委託契約を結び、孤独のリハビリ生活に入った。先の見えない中で「最初は、真っ暗でした」。

 4月下旬。治療の効果もあり、1度は合流直前までこぎつけた。だが契約などで待ったがかかり、再びピッチ脇へ。「行くぞと言われた直後だったので、きつかった」。それも、恩師の大榎前早大監督らからの励ましで耐えて、たどり着いた“初練習”のピッチ。内山監督は「サッカーができる楽しさが出ていた。チームの明るい材料にもなる」と喜んだ。

 正式契約は今後だが、リハビリの成果で、下半身はたくましくなったという。「ここからです」。山本脩の“プロ生活”が、ようやく始まった。【今村健人】