<天皇杯:鹿島2-2(PK3-0)国士舘大>◇4回戦◇2日◇カシマ

 鹿島にはブーイングすら飛ばなかった。「コークシカン!」。味方サポーターが陣取るゴール裏にあいさつに出向いた選手に待っていたのは屈辱の国士舘大に対する声援だった。「この結果では何も言えない」。PK戦の末に勝っても学生に主役の座を奪われ、DF伊野波は受け入れるしかなかった。

 93年のJリーグ開幕以降、前年J王者が学生相手に負けた歴史はない。だが2度のリードを許すなど敗北寸前だった。相手が堅守速攻ではなく、前線からのプレスを仕掛けてくることは予想していた。だが「1タッチでつないだり、サイドに持って行けばよかった」とDF岩政が振り返るほど、勢いにたじろいだ。

 前半39分にはGK曽ケ端のフィードを中盤で奪われてプロ顔負けの30メートル弾で先制点を献上。1-1の後半14分にもMFダニーロと伊野波の間のバックパスをさらわれて2失点目を喫した。最後はGK曽ケ端がPK戦で3本連続で止めて勝ったが、守備は何度も崩された。

 リーグ戦同様、ベスト布陣を組んだオリベイラ監督も「選手にはJリーグの試合と同じ気持ちで戦おうと言ったが、11人のうち数人はそういう気持ちを持っていなかった」と意思が希薄だったことを認めた。リーグと天皇杯のダブル連覇へ、鹿島に勢いが感じられない。【広重竜太郎】