<全日本女子ユース(U-18)サッカー選手権:常盤木学園2-0浦和ジュニアユースレディース>◇8日◇宮崎・西都市清水台総合公園多目的広場◇決勝◇45分ハーフ

 常盤木学園(宮城)が、2-0で浦和ジュニアユースレディースを下し、大会史上初の3連覇を達成した。両チーム無得点で迎えた後半17分に、昨年まで相手チーム所属だったFW斉藤あかね(1年)が、先制ゴール。3月の卒業後にはLリーグ浦和入りするMF熊谷紗希主将(3年)とDF桜本尚子(同)も、闘志あふれるプレーで“因縁対決”を制した。同校は昨夏の高校選手権と合わせ、初の年間2冠の偉業も成し遂げた。

 攻めて、守って、ねじ伏せた。「浦和」と縁がある3人の活躍で、常盤木学園が危なげなく3連覇を決めた。攻めても攻めてもゴールが決まらない嫌なムードを、浦和育ちの1年生FW斉藤の一撃が吹き飛ばした。ペナルティーエリア前で自ら中に入れたボールが、百戦錬磨の3年生2人を経由して目の前に戻ってきた。思い切り右足を振り抜いて、値千金の先制弾を決めた。「どうしても私がゴールしたかった。うれしい」と声を震わせた。

 日本代表MF熊谷主将は4月から、筑波大に通いながらLリーグ浦和でプレーする。ボランチとして全員をもり立て、全日本ユース無敗のまま卒業を決めた。「浦和との対戦が決まって、本当に楽しみでした。Lリーグでは浦和のために頑張ります」と笑った。

 DF桜本も、2歳下の斉藤と同じ浦和出身。仲間と一緒に常盤木学園の黄金時代を築き上げ、再び浦和に戻る。「高校最後の試合が古巣なんて、すごい運命。私がここに来た意味を確かめるためにも、絶対負けられない試合でした」と汗だくの顔をほころばせた。

 高い個人技と向上心を持った3年生を中心に、前人未到の3連覇。抱き合って喜ぶイレブンに、阿部由晴監督(46)が歩み寄り「よく頑張った。でも、もうこれぐらいでいいだろう?」と冗談半分に問いかけた。「いえいえ」「来年も勝ちます」と1、2年生が口々に叫んだ。常勝軍団の記憶と伝統は、こうして後輩たちに引き継がれていく。【大石健司】