<J1:広島1-1川崎F>◇第7節◇26日◇広島ビ

 川崎Fが、10人の広島に反撃を許し1-1で引き分けた。前半34分、FWヴィトール・ジュニオールのゴールで先制し、前半終了直前には広島のMFミキッチが退場した。後半、数的優位を生かして追加点を奪いにいったが、同13分、DF井川のクリアミスから同点にされると広島に主導権を握られた。後半のシュート数は4対12と防戦一方の展開で引き分けがやっと。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)は1次リーグを難なく突破したが、ACL直後のリーグ戦は4戦勝ちなしと苦戦が続く。

 押し殺そうとした悔しさが、関塚隆監督(48)の口から漏れた。「後半は自滅。自分たちで崩した。個人プレーが多くなった」。1-1で迎えた後半、FWジュニーニョら攻撃陣は2点目を取ろうと、個人の力で強引に攻めようとしたが、広島の組織的な守備にボールを失い、カウンター攻撃を食らった。後半13分にクリアミスを奪われ失点したDF井川は「要は相手がうまいということ」と振り返った。

 ピッチ内ではMF中村が、後半開始から「後ろでつないでいればいい」と声をかけていた。ボールを回して1人少ない広島を走らせて疲れさせれば、得意のカウンターが効いたはずだ。しかし、中村の指示は浸透せず、広島FW佐藤は「憲剛くんの言う通りにされるのが一番嫌だったけど、相手は関係なく仕掛けてくれた」と指摘した。

 ACLでは未知のチームと対戦する1次リーグを軽々突破しながら、国内では苦戦を強いられている。ACLでは相手も恐れることなく真っ向勝負を挑んでくるため、得意のカウンター攻撃がはまる。逆に国内では、昨季J1最多の65得点をたたき出した攻撃力を抑えようと、相手は引いてくるため、崩せず空回りするケースが目立つ。この日はシュート数も14対15と、今季11戦目で初めて相手に打ち負けた。前半は10対3と圧倒も、逆に後半は4対12と3倍も打たれた。

 選手の多くは、疲労を不振の理由にはしない。ただ、4月はこれで6試合目で、29日には京都戦(等々力)も控える。先制点を決めたMFヴィトール・ジュニオールも「中2日で休みも取りながらやりたい」と疲労をにじませた。中村は「勝ち点2を落としたことになるけど、必要以上にネガティブになるのは良くない」と前を向こうとした。【村上幸将】