<J2:仙台3-0熊本>◇第10節◇26日◇熊本県民総合運

 頼れる主将が、仙台を今季初の3連勝に導いた。MF梁勇基(27)が、直接FKで2ゴールをマーク。1アシストも記録する活躍で熊本に3-0で快勝した。攻撃の柱が本領発揮すれば、守備陣も開幕10戦で6試合目の完封劇を演出。リーグ最少失点(5失点)の堅守で、勝利に貢献した。攻守の歯車がかみ合ったベガルタが、反攻を開始する。

 前半42分、ペナルティーアーク左からMF梁が放ったFKが、ゴール右隅に吸い込まれた。相手GKが1歩も動けない芸術弾。表情を崩さない梁だったが、2度目は喜びを隠せなかった。後半1分、1点目より5メートルほど離れた位置から右足を振り抜き、またもゴールネットを揺らす。たまらず笑顔をこぼし、右の拳を力強く握り締めた。

 イメージ通りの得点だ。前日の練習後、FKの居残り練習。そこで梁の好調さを感じた手倉森監督が「1点目は打った瞬間、入ると思った」と確信すれば、梁も「前日の練習でFKの感覚を取り戻せた。2点目はGKの動きが見えたし、やっぱり練習は大切ですね」としてやったりだ。

 正確なキック力は、幼少時から積み重ねた結晶だ。小学生の時、90年W杯イタリア大会のビデオを父親に買ってもらい、擦り切れるほど見た。印象に残ったのが、決勝トーナメント1回戦のユーゴスラビア―スペイン戦。MFストイコビッチが決勝FKを決め、まねするようにボールを蹴り続けた。昨年12月の磐田との入れ替え戦では、追撃の直接FKを決めた。「コースを狙って壁を越えれば入る」と自信を深めた。

 DF陣も奮闘し、3戦連続完封を達成した。開幕10戦で5失点はリーグ最少。堅守も好リズムを生み、今季初の3連勝に貢献した。手倉森監督は「上位がつまずいた時に、去年は勝てなかったけど今年は違う。落とした白星(3敗)を地道に取り戻す」と手応えを口にした。反攻へ、仙台の歯車がかみ合い始めた。