<J1:清水2-2浦和>◇29日◇第8節◇静岡

 浦和の高卒ルーキーMF山田直輝(18)が、清水戦でプロ初ゴールを挙げた。前節千葉戦での決勝アシストに続いての活躍だった。試合は2-2で引き分けだったが、大物ぶりを見せつけた。

 自分自身の力を信じて、そのときを待っていた。同点で迎えた後半29分。山田直は、右サイドからの味方の攻撃に合わせてゴール前へ駆け込んだ。相手DFと競り合ったMFポンテから託されたラストパスが足元に収まる。「しっかり狙いすませば、入るはず」。胸の内で自らを鼓舞しながら右足を振り抜くと、回転のきいたボールは緩やかな曲線を描きながらゴール右隅へ吸い込まれた。

 結果的にチームに勝ち点1をもたらす、プロ初得点。「ロビー(ポンテ)からパスが来たときには、シュートを打つと決めていました。ゴールよりも勝利が優先なので少し残念ですけど、率直にうれしいです」。背番号の下1けたが同じ原口のゴールと誤って場内アナウンスされ、後に訂正が入ったが「アウェーですから分からなかったんでしょう。でも、サポーターの方はよく見てくれてましたから」と、浦和側観客席の「直輝コール」に右腕を突き上げた。

 運動量と技術力をフィンケ監督に評価され、選手層の厚い強豪でレギュラーに定着。18日の京都戦で公式戦出場450分に到達し、クラブ史上最速のA契約選手となった。それでもまだ、駆け出しの18歳。周囲の期待が高まる中「何度もチャンスがあったし、そろそろ決めないとチームに迷惑をかける」と重圧に苦しんでいた。昨季優勝した全日本ユースでは計8ゴールで得点王。当時を思い起こし、自らを奮い立たせた。

 「これで肩の荷が下りた気がします」という山田直。リーグ戦の連勝は4で止まったが、浦和にとって17歳FW原口に続くルーキーの活躍は何より明るい材料となった。【山下健二郎】