王者の経営ノウハウを、J1山形のフロントが手に入れる―。山形の海保宣生理事長(67)が、普段は遠征に帯同させないフロントスタッフも、8日のアウェー鹿島戦に帯同させる準備をしていることが5日、分かった。J1残留が決定する可能性がある一戦の応援ではなく「プロのフロント業務」を学ぶことが目的。可能な限り前日7日から現地入りし、多くのことを吸収するように指示した。

 ピッチでボールを追い回すモンテ戦士に背を向け、山形のフロント職員が鹿島スタッフを追いかける。通常、遠征に帯同するのは広報、運営、強化スタッフの3人だが、鹿島戦には当日山形で業務を抱えていない職員、十数人が乗り込む。名実ともにJトップクラスのクラブを支えるフロントの仕事ぶりを、生きた教材にする考えだ。

 J1初挑戦中のチームが、残留という結果を出そうと必死になっている。海保理事長は「フロントもプロ意識をもってやらないとダメ。1年目は不手際があってもしょうがないが、来年同じようなら笑われる」と、危機感を持つ。かつて鹿島のフロントだった縁から、試合の準備段階から会議まで見せてもらえるように頼んでいるという。

 グッズ担当や、集客担当といった、直接スタジアム運営に携わらない職員にも「人を呼び込むことや、商品ができあがるまでのプロセスを積極的に聞いてきて欲しい」と同理事長。ユニホームの販売はシーズン半ばにずれ込み、チーム名の誤ったグッズが売られたこともある。改善されたが、来場者に背中を向ける形で、屋台が設置されてもいた。同理事長は「私の言うことより、目で見て刺激を受けてくれれば」と、計画の成功を期待する。

 利益を追求できない社団法人といえども、チームの強化には多額な資金が必要だ。少ない決定機をものにし、進化している現場同様、フロントのプロ意識がさらに増し、失敗を恐れず機動力あるフロントに成長すれば―。魅力も強さも増す可能性が、山形には無限にある。【山崎安昭】