名古屋が日本代表DF田中マルクス闘莉王(28=浦和)の獲得に乗り出すことが22日、分かった。闘莉王は契約満了に伴い、今季限りでの浦和退団が決定的。夢である海外移籍に傾き、中東カタールやUAEが移籍先候補に挙がっているが、名古屋は守備の要、加えてチームのリーダーとして最大級の評価をしているもよう。国内クラブ一番乗りで「争奪戦」に参戦する。

 名古屋が、日本代表不動のセンターバック闘莉王に狙いを定めた。浦和退団が決定的となっている闘莉王には強い海外志向があり、移籍先として中東が有力視されている。そんな中、浦和と同じ赤がクラブカラーの名古屋が「逆転」での獲得をもくろんでいる。海外移籍の進ちょく状況も含め、去就の動向を水面下で徹底して調査中。Jリーグ関係者もこの日「名古屋が獲得に乗り出すだろう」と話した。

 来季、就任3年目を迎えるストイコビッチ監督のもと悲願のリーグ制覇を狙う名古屋にとって、強さと圧倒的な得点能力を誇る闘莉王は補強ポイントを補って余りある文句なしの人材。勝利へ並々ならぬ執念を燃やすその姿勢は、激情家だった現役時代の同監督にも重なる。強烈なリーダーシップも魅力的。おとなしい選手が多く、取りこぼしが目立つあしきチームカラーを一変させられる切り札として期待できる。

 来年はW杯イヤー。南アフリカ大会を控えるこの冬の海外移籍は、大きなリスクも伴う。同大会の最終メンバー入りが確実な闘莉王の名古屋入りが実現すれば、W杯4強を目指す岡田ジャパンにも利点がある。生活環境もさほど変わらず、知り尽くしたJリーグで戦いながら、落ち着いて自身初のW杯へのコンディションづくりを進められる。さらに、名古屋には日本代表の正GK楢崎正剛(33)も所属。日々の練習からともにプレーすることで、連係をより強固なものへと磨き上げることが可能となる。

 日本国籍を取得してW杯を目指す闘莉王にとって、南アフリカ大会は、海外移籍と同じくらい大きな夢。代表に直結する利点と、国内クラブでいの一番に獲得に乗り出す「誠意」で海外志向を翻意させ、口説き落としにかかる。