ナビスコ杯王者の東京が、東京VのFW大黒将志(29)の獲得に動いていることが4日、明らかになった。クラブ幹部によれば、非公式ながら打診も済ませている。現在、年俸を含めた条件面の最終調整に入っており、このまま正式オファーに発展する可能性が高くなった。同じホームタウンのライバル東京Vから初めての選手獲得が実現しそうだ。

 来季、東京にとって得点力アップが期待できるFWが最大の補強ポイントになっている。今季は日本代表MF石川が15得点の活躍をみせたが、5得点を挙げていたカボレが9月に中東に移籍。FW陣は赤嶺が5得点、平山と鈴木が4得点とゴール数が物足りなかった。そこで決定力のあるストライカーとして絞り込んだのが、06年W杯ドイツ大会の日本代表・大黒だった。

 大黒は東京Vと推定年俸7000万円で契約も2年残しているが、同クラブによる人件費の大幅削減もあって、J1で移籍先を探している。先月18日には「代表入りもあるし、やはりJ1でやりたい」と移籍希望を明らかにしていたが、生活環境の変化を最小限に抑えられる東京からのオファーは、大黒にとっても朗報だ。

 大黒の高額年俸が獲得のネックになりそうだが、東京としては資本金の増資などで金銭面のメドが立ちつつあるという。クラブ幹部は「今季のプレーも見ている。勝負師のような雰囲気は、うちにいないタイプ」と魅力を口にした。既に獲得オファーを出している大分DF森重を含め、東京はセンターラインの補強を進めていく方針だ。