ブンデスリーガのボーフムMF小野伸二(30)が、清水に移籍することが12日、決定的になった。3年ぶりの国内復帰を目指して複数のJクラブと水面下で交渉し、日本代表FW岡崎慎司(23)への配球役を今オフの最大補強ポイントにしている清水と、地元静岡でのプレーを熱望している小野と意向が一致した。ネックとなっていた推定1億円超といわれる高額年俸も、双方が歩み寄る形でクリア。19日の年内最終戦(ハノーバー戦)終了後にクラブ間で最終交渉に入る。順調にいけば年内中にも清水・小野伸二が誕生する。

 W杯イヤーに小野がJリーグで勝負をかける。Jリーグ関係者によると、小野は今オフでの国内復帰を強く希望し、代理人が水面下で複数のJクラブと接触していた。その中で強い興味を示したのが清水だった。当初は磐田FW前田の獲得を目指していたが、同時進行でFW岡崎にパスを配球する司令塔として小野の調査を進めていた。前田が残留を明言したことで、小野と本格的な交渉に入った。

 小野も清水からのオファーに前向きだという。清水商出身で静岡は地元。生活面での障害はない。また足首などに古傷を抱えるため、温暖な静岡は環境面でも申し分ない。一方、今オフの補強ポイントとして「攻撃的MF」を最重要課題としていた清水は、高校時代から天才と言われた地元のヒーローの動向に常に注目していた。高校卒業時を含めて、これまでも数回にわたりラブコールを送っていた。今回の獲得オファーにためらいはなかった。

 小野の清水移籍が実現すれば、日本人最多の4度目のW杯出場も現実味を帯びてくる。今年、日本代表最多の16ゴールを量産したFW岡崎とのホットラインが機能すれば、08年8月20日のウルグアイ戦(札幌)以来となる、日本代表復帰へ最高のアピールになる。岡田監督は第1次政権の98年W杯フランス大会直前に小野を初招集。同4月の韓国戦でA代表デビューさせ、18歳の若さでW杯代表に抜てきした過去もある。

 最大のネックが1億円を超えると言われる高額年俸だったが、すでに双方で歩み寄っている。今後はブンデスリーガの年内最終戦(19日)を待ち、クラブ間で最終交渉に入るが、現時点では複数年契約(年数に関してはオプション)が基本線となる。

 小野はボーフムとの契約を半年残しているためボーフム側と清水側で違約金交渉の折り合いがつけば、晴れて3年ぶりの国内復帰が実現する。