東大初のJリーガーが誕生した。東大ア式蹴球(サッカー)部のFW久木田紳吾(22)が、来季からJ2岡山に入団することが内定した。24日、岡山が発表した。今季は特別指定選手として登録される。これまでプロ野球界には5人の東大卒選手が誕生しているが、Jリーグでは初の快挙。現在大学4年で工学部都市工学科都市計画コースで学び、「Jクラブのホームタウン作りの現状と課題」を卒論課題とする秀才が、Jの舞台に立つ。

 東大初のJリーガー誕生という快挙にも、浮かれることはなかった。久木田は「プロになる以上、有名になることは悪くないですが、今は(東大という)違う注目のされかたなので、結果を残して注目されたいと思います」と、プロ入りへの決意表明をした。

 7月下旬に岡山の練習に参加。期間は当初予定された1週間から2週間に延びた。8月中旬にオファーを受け「(池上)GMから就職の選択肢も含めしっかり考えてと言われた。悔いのない決断だったと思う」。東大大学院の試験を控え受験料も納めた後だったが、受験料を無駄にして8月下旬にプロ入りを決めた。

 鹿島、東京V、水戸、熊本、岡山の練習に参加。今年7月の鹿島練習参加後には、元日本代表の鹿島MF中田の自家用車で東京まで送ってもらい、車中で「結果は誰にも分からない。しっかり考えて決断したらいい」とエールを受けた。「中田さんの言葉が励みになった」と背中を押された。

 FWながら、岡山の池上GMからはスピードと対人の強さを評価され「FWよりサイドとかで使うと言われている」という。昨年2月の鹿島練習時にフィジカルの弱さを痛感。それ以来週4回ジムに通い、体重も約1年半で64キロから70キロに増えた。4年間、飲み会参加も控えてサッカーに打ち込み、J入りにつなげた。

 東大ア式蹴球部のチーム事情で、岡山合流は10月中旬から11月下旬の間になる予定。「怠惰な生活を送りそうだから」と大学2年から自宅にテレビも置かず節制を続けた。「自分の学科だと(将来的に)国交省とか街作りコンサルタントとかの道もある」。多くの可能性の中からプロの道を選択した。「少しでも早く試合に出て、J1昇格に貢献することが目標です」と意気込んだ。【菅家大輔】